日本大百科全書(ニッポニカ) 「新聞倫理綱領」の意味・わかりやすい解説
新聞倫理綱領
しんぶんりんりこうりょう
新聞メディアがその総意として遵守することを誓約した憲章。2000年(平成12)6月、日本新聞協会は、1946年(昭和21)に制定して以来長く護持してきた倫理綱領を全面的に改め、新しい新聞倫理綱領を制定した。新綱領は、旧綱領と同じく、新聞が高い倫理水準を保ち、職業の権威を高め、社会から期待される責任を果たすための指導理念であることを約束した。その前文で、国民の知る権利が民主主義社会を支える普遍の憲法原理であることを訴え、新聞がその担い手としてもっともふさわしいと述べ、本文においては、「自由と責任」「正確と公正」「独立と寛容」「人権の尊重」「品格と節度」の5項目を掲げて、21世紀の新聞の使命を説いている。
旧綱領は、第二次世界大戦後の1946年(昭和21)、GHQ(連合国最高司令官総司令部)の指導と示唆を受けて、日本新聞協会が制定した。それは、当時の時代状況を反映して、日本が民主的平和国家として発展するという理念に基づき、新聞の「指導精神」として作成された。なお、これを基盤として、54年には「新聞販売綱領」、76年には「新聞広告倫理綱領」が制定され、これらは2000年時点においても堅持されている。ただし、新しい綱領は「品格と節度」の項で、広告表現の品格とともに販売における節度と良識をも説いている。
[林 利隆]