新興感染症(読み)シンコウカンセンショウ(その他表記)emerging infectious disease

デジタル大辞泉 「新興感染症」の意味・読み・例文・類語

しんこう‐かんせんしょう〔‐カンセンシヤウ〕【新興感染症】

1970年以降に新たに認識されるようになった、公衆衛生上問題となる感染症寄生虫感染症のクリプトスポリジウム細菌感染症のO157感染症・新型コレラレジオネラ症ウイルス感染症のエボラ出血熱HIVAIDS)・SARS成人T細胞白血病鳥インフルエンザラッサ熱など。エマージングディジーズエマージング感染症。→再興感染症

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共同通信ニュース用語解説 「新興感染症」の解説

新興感染症

近年新しく認知され、局地的、あるいは国際的に公衆衛生上の問題となる感染症。新型コロナウイルス感染症の他、重症急性呼吸器症候群(SARS)やエボラ出血熱、エイズなどが含まれる。現代開発などにより未知病原体に遭遇する機会が増え、人の移動も活発なため、短期間で広範囲にまん延する可能性も高くなっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新興感染症」の意味・わかりやすい解説

新興感染症
しんこうかんせんしょう
emerging infectious disease

これまでに知られておらず、最近になって新たに出現した感染症の総称WHO(世界保健機関)による定義では、「かつて知られていなかった、新しく認識された感染症で、局地的あるいは国際的に、公衆衛生上問題となる感染症」とされている。一般に1970年以降に認識されたものをさす。エボラ出血熱(1976)、エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)(1981)、鳥インフルエンザ(H5N1)(1997)、21世紀に入って以降も、サーズ(SARS、重症急性呼吸器症候群)(2003)、マーズMERS中東呼吸器症候群)(2012)などが出現し、1970年以降少なくとも30以上の感染症が新たに確認されている。

 そのほか代表的な新興感染症として、クリプトスポリジウム症クリミア・コンゴ出血熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、腸管出血性大腸菌感染症、ニパウイルス感染症、日本紅斑(こうはん)熱、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)感染症、マールブルグ病、ラッサ熱などがある。

 なお、新興感染症に対し、既知の感染症で、根絶への動きが進み、近い将来克服されると考えられていたものの、近年ふたたび増加・流行の兆しがみられる感染症は「再興感染症(re-emerging infectious disease)」とよばれる。

[編集部 2018年11月19日]

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