改訂新版 世界大百科事典 「旧赤色砂岩」の意味・わかりやすい解説
旧赤色砂岩 (きゅうせきしょくさがん)
Old Red Sandstone
イギリス,アイルランドの各地に広く分布する陸成デボン系。コニーベアW.D.ConybeareとフィリップスJ.Phillipsの命名(1822)。旧赤砂岩とも呼ばれる。主として赤褐色をおびた砂岩,レキ岩などの粗粒堆積物よりなる。厚層で,スコットランドでは層厚5000mに達するところもある。イングランド,ウェールズの境界地方では,海成シルル系上に整合に発達し,ブリストルでは上方の海成石炭系へ移化するが,北方のスコットランドでは著しい傾斜不整合で下位層をおおい,堆積物の中位にも地殻変動の存在を示す不整合がある。一般にカレドニア造山運動の後造山性堆積物とされ,同様な地層はバリスカン地向斜より北方のヨーロッパ各地に分布する。初期の陸上植物,古生マツバラン類(プシロフィトン)などのほか,河口や潟性堆積物中に,甲冑魚(かつちゆうぎよ)(プテラスピス)などの原始的魚類や,肺魚類化石を産する。日本では,これに相当する地層は知られていない。
執筆者:加藤 誠
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報