春のめざめ(読み)ハルノメザメ(その他表記)Frühlingserwachen

デジタル大辞泉 「春のめざめ」の意味・読み・例文・類語

はるのめざめ【春のめざめ】[戯曲]

原題、〈ドイツFrühlings Erwachenウェデキント戯曲。3幕。1891年作。1906年初演思春期少年少女の性についての無知から起きた悲劇を描き、保守的な社会道徳を告発した。

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精選版 日本国語大辞典 「春のめざめ」の意味・読み・例文・類語

はるのめざめ【春のめざめ】

  1. ( 原題[ドイツ語] Frühlings Erwachen ) 戯曲。三幕一九場。ベデキント作。一八九一年発表、一九〇六年ベルリンで初演。思春期の少年少女の性の悩みを描き、自然なものの芽生えを不道徳とする旧来の考えに警告の意を示した。日本では大正六年(一九一七)芸術倶楽部で劇団踏路社が初演。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「春のめざめ」の意味・わかりやすい解説

春のめざめ
はるのめざめ
Frühlingserwachen

ドイツの劇作家ウェーデキントの三幕悲劇。1891年作。1906年マックス・ラインハルトの演出による初演によって作者名声が定まった。主題は思春期の少年たちに荒々しく迫る自然的性の目覚めであるが、大人たちの因襲にとらわれた対応のなかに小市民社会の偽善権威主義などが暴露される。主人公の1人は自殺し、他の1人は感化院に追われ、妊娠した少女も親の勧めた堕胎術のため死亡する。ビュヒナーの流れをくむ挿話の連続による構成は、一見自然主義的な対話に支えられているが、全体を貫く情念はときにグロテスクに傾き、ときに象徴にまで高まっていて、きたるべき表現主義先駆となった。

[吉安光徳]

『野上豊一郎訳『春のめざめ』(角川文庫)』

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百科事典マイペディア 「春のめざめ」の意味・わかりやすい解説

春のめざめ【はるのめざめ】

ウェーデキントの3幕の悲劇。1891年刊,1906年初演。家庭や学校を支配する偽善的道徳の犠牲になる思春期の少年少女を描く。性を正面から取り上げた問題作で,おとなたちの戯画的扱いやかなり偶然的な幕割など,表現主義の先駆的要素がみられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「春のめざめ」の意味・わかりやすい解説

春のめざめ
はるのめざめ
Frühlings Erwachen

ドイツの戯曲。3幕 19場。 F.ウェデキント作。 1891年執筆。 1906年ベルリンで初演。 M.ラインハルト演出。ウェデキントの作品の共通テーマである人生の根源的な力としての性の衝動が大胆に扱われているため,上演禁止,テキスト削除,会員制による非公開上演など,多くの波紋を投げた。

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デジタル大辞泉プラス 「春のめざめ」の解説

春のめざめ

2006年初演のミュージカル。原題《Spring Awakening》。脚本:スティーブン・セイター、作詞・作曲:ダンカン・シーク。19世紀末ドイツを舞台に、思春期を迎えた少年と少女の悲劇を描いた作品。日本でも2009年に劇団四季により初演された。2007年に第61回トニー賞(ミュージカル作品賞)、2010年に第34回ローレンス・オリヴィエ賞(新作ミュージカル賞)を受賞。

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世界大百科事典(旧版)内の春のめざめの言及

【ウェーデキント】より

…自然主義の隆盛期である1890年代に,これとは対極的な一連の作品をもって登場。抑圧的な市民社会にあって高校生の男女がゆがめられた性に対する考えから破滅していくさまを描いた《春のめざめFrühlings Erwachen》(1891),社会の制約を無視して奔放に生きる女ルルーを共通の主人公とした連作《地霊》(1895),《パンドラの箱》(1904)等がそれである。そこでは生と性に対する抑圧が取り扱われ,このテーマを通じて硬直化した市民社会とその疑わしいモラルが批判されている。…

【ギリシア映画】より

…コスタ・ガブラスCosta‐Gavras監督にも似たような問題があり,このフランスで育ったギリシア人の傑作《Z》(1968)は,現実にギリシアで起こった政治家暗殺事件についてのギリシアの作家バシリコスVasílis Vasilikósの小説を原作としているが,舞台は架空の国である。 むしろ63年に発表されたコンドゥロスNíkos Kondoúros監督の《春のめざめ》のような作品のほうが白黒の画面に古代ギリシア風の抒情を再現して,この国固有の映画美を感じさせた。またマヌサキスKóstas Manousákis監督の《欲望の沼》(1966)は,ネオレアリズモのギリシア的展開として注目された。…

※「春のめざめ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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