ドイツの劇作家ウェーデキントの三幕悲劇。1891年作。1906年マックス・ラインハルトの演出による初演によって作者の名声が定まった。主題は思春期の少年たちに荒々しく迫る自然的性の目覚めであるが、大人たちの因襲にとらわれた対応のなかに小市民社会の偽善、権威主義などが暴露される。主人公の1人は自殺し、他の1人は感化院に追われ、妊娠した少女も親の勧めた堕胎術のため死亡する。ビュヒナーの流れをくむ挿話の連続による構成は、一見自然主義的な対話に支えられているが、全体を貫く情念はときにグロテスクに傾き、ときに象徴にまで高まっていて、きたるべき表現主義の先駆となった。
[吉安光徳]
『野上豊一郎訳『春のめざめ』(角川文庫)』
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…自然主義の隆盛期である1890年代に,これとは対極的な一連の作品をもって登場。抑圧的な市民社会にあって高校生の男女がゆがめられた性に対する考えから破滅していくさまを描いた《春のめざめFrühlings Erwachen》(1891),社会の制約を無視して奔放に生きる女ルルーを共通の主人公とした連作《地霊》(1895),《パンドラの箱》(1904)等がそれである。そこでは生と性に対する抑圧が取り扱われ,このテーマを通じて硬直化した市民社会とその疑わしいモラルが批判されている。…
…コスタ・ガブラスCosta‐Gavras監督にも似たような問題があり,このフランスで育ったギリシア人の傑作《Z》(1968)は,現実にギリシアで起こった政治家暗殺事件についてのギリシアの作家バシリコスVasílis Vasilikósの小説を原作としているが,舞台は架空の国である。 むしろ63年に発表されたコンドゥロスNíkos Kondoúros監督の《春のめざめ》のような作品のほうが白黒の画面に古代ギリシア風の抒情を再現して,この国固有の映画美を感じさせた。またマヌサキスKóstas Manousákis監督の《欲望の沼》(1966)は,ネオレアリズモのギリシア的展開として注目された。…
※「春のめざめ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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