「こよみのはかせ」ともいう。暦をつくり、また暦生に暦道を教える官職。554年に朝廷の要請により、百済(くだら)から暦博士王保孫(おうほそん)が来朝している。令(りょう)制では中務(なかつかさ)省の陰陽寮(おんみょうりょう)に属し、従(じゅ)七位相当官であったが、平安時代以降は五位の者が任じられた。定員は1名で、のちに権暦博士(ごんのれきはかせ)を増員した。791年(延暦10)から職田3町を給せられた。平安中期から賀茂(かも)家が世襲するようになったが、戦国時代にいったん暦博士の職は絶え、江戸時代初頭に賀茂家の末裔(まつえい)(幸徳井(こうとくい)家)によって復活し、幕末に至った。江戸時代の暦博士は、幕府天文方が作成した暦の草案に陰陽道による暦注を記入するだけで、編暦には携わらなかった。
[岡田芳朗]
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律令制の陰陽(おんみょう)寮に属する教官。唐の司暦と保章正の職掌を兼ね,暦の作成と暦生に暦法を教えることを職務とする。従七位上相当。定員は本来1人だが,やがて権暦博士1人がおかれ,暦博士2人による暦の作成が定着した。2人の博士が頒暦(はんれき)用の暦と天体暦である七曜暦の作成を分担したと思われるが,頒暦の署名の実例は2人の博士による連署である。平安後期以降の暦博士は賀茂氏が独占した。
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