書抜(読み)かきぬき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

書抜
かきぬき

歌舞伎用語。脚本のうちで,俳優ごとにそれぞれの配役の担当するせりふだけを書いたもの。狂言方が作成する。京坂では台詞書 (せりふがき) という。半紙二つ折に6行ずつ,名題下 (下級) の俳優には7行に記し,1幕1冊ずつに綴じ,表で結ぶのが法。書抜を受取ることは役の承諾を意味する約束があり,その形式,取扱いともに芝居の故実が生きている。

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百科事典マイペディアの解説

書抜【かきぬき】

脚本の中から一つの役のせりふのみを抜書きしたもの。歌舞伎では本読み後にそれぞれの役者に渡す習慣があったが,今日では脚本全体を渡すようになり,全体の流れの中で役作りが行われる。

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世界大百科事典 第2版の解説

かきぬき【書抜】

歌舞伎用語。台帳の中から俳優ひとりひとりのせりふを書き抜いて,1幕1冊に綴じたもの。江戸では〈かきぬき〉,上方では〈せりふがき〉という。本読みが終わり,〈書抜の日〉に作者部屋の者が抜書をはじめる。書抜を俳優が受け取ることは,その役の承諾を意味する。江戸と上方では書式の相違があるが,表紙中央に〈……の書抜〉と題し,立者(たてもの)は俳名,その他は名を書く。裏には〈大々叶〉と書く習慣である。【土田 衛】

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精選版 日本国語大辞典の解説

かき‐ぬき【書抜】

〘名〙
① 文章の一部分要点などを、別に写しとること。また、その写しとったもの。ぬきがき。抜粋。
※兼載雑談(1510頃)「集などにも、かきぬきにもいらぬといへり」
② 演劇や映画で、台本の中から一人一人の俳優のせりふを別に書き抜いたもの。
※雑俳・柳多留‐一〇七(1829)「アリャアリャの書抜をよむはやし町」
③ 幾つかの物の中で、特にすぐれたもの。ぬきんでたもの。
※談義本・教訓続下手談義(1753)二「是則商売人の高点書抜(カキヌキ)とやらんにまさりての手柄にて御座候」

かき‐ぬ・く【書抜】

〘他カ五(四)〙
① 文章の一部分や要点などを別に写しとる。抄録する。抜粋する。
※春のみやまぢ(1280)九月一五日「古今の御ふしんどもかきぬく」
※安井夫人(1914)〈森鴎外〉「書物は借りて覧(み)て、書き抜いては返してしまふ」
② 最後まで書く。

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