字を書こうとすると、手が震えたり、指に力が入ったり、手首がこわばったり、ときには痛みを伴ったりして、うまく書けなくなる状態をいい、手を他の目的に使用するときには支障がない。筆記具の持ち方が独特になることが多い。事務職、作家、書記、書道家、教師など、字を書くことの多い職業に従事する人で、20~40歳代の男性に多い。書痙の原因に関しては、書字に関係する筋肉、腱鞘(けんしょう)、末梢(まっしょう)神経などの末梢性障害であるとするもの、中枢性の錐体(すいたい)外路性障害によるとするものもあるが、一般的には神経症とみなされ、職業神経症(職業けいれん)の代表とされている。ピアニストけいれん、タイピストけいれん、電話交換手けいれんなども同じである。
治療は、職業に関係して発症したものであれば、できるだけ早く仕事から離れて休養するのが望ましい。精神的要素が関与しているような場合は、精神療法が行われる。そのほか、鎮静剤や精神安定剤などの薬物療法、バイオフィードバック(筋電図などを用いた自律訓練法の一種)も行われる。対策として書字を始める前に、けいれんをおこしやすいところを自分でマッサージしたり、局所的な調整運動を試みたりするのも有効である。
[海老原進一郎]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…医学的な検査では,筋肉の硬結,圧痛,知覚障害,末梢の循環障害,神経の圧痛,神経テストの陽性などが確かめられる。 こうした職業性の健康障害は,日本では,すでに古く《日本書紀》の中に写経生の病気として記され,〈書痙〉として知られていた。医師の詳しい観察としては,イタリアのラマッツィーニBernardino Ramazzini(1633‐1714)が1700年その著書《働く人々の病気》の中で,書記,写字生の病気として記し,その発症要因として,手指および上肢のみならず,姿勢の拘束性および精神・神経の緊張を挙げて,症状と作業の関連を総合的に把握して説明しており,この見解は今日にも通ずる。…
※「書痙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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