木葉(読み)このは

精選版 日本国語大辞典 「木葉」の意味・読み・例文・類語

こ‐の‐は【木葉】

〘名〙
樹木の葉。特に紅葉した葉や落葉をいう。《季・冬》
※古事記(712)中・歌謡「狭井河よ 雲立ち渡り 畝火山 許能波(コノハ)さやぎぬ 風吹かむとす」
※俳諧・玉海集(1656)四「空はれてちれる木葉やひでり雨〈貞室〉」
② (①が小さく、軽いものであるところから) 小さいもの、つまらない取るに足りないもののたとえ。こっぱ。接頭語的に用いられる。「木の葉天狗」「木の葉武者」「木の葉坊主」「木の葉六方」など。
能楽小道具の一つ。「三輪(みわ)」「采女(うねめ)」などの前シテが手に持つ神詣での榊(さかき)や、仏参の樒(しきみ)に似せたもの。本物の葉がついた小枝などもある。
④ 鳥「せっか(雪加)」の異名か。
※大和本草(1709)一五「このは 其大如雀。淡黒なり」
※俳諧・犬子集(1633)六「木葉共のしたがふ風や大天狗

もく‐よう ‥エフ【木葉】

〘名〙
① 木の葉。このは。〔日葡辞書(1603‐04)〕 〔楚辞九歌
② 鏃(やじり)一種

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「木葉」の意味・わかりやすい解説

木葉
このは

熊本県玉名郡玉東町(ぎょくとうまち)の中心地区。旧木葉村。木葉川の右岸に位置し、かつては南関(なんかん)街道宿駅でもあった。背後にある木葉山の赤土は奈良時代には祭器の原料として、中・近世には屋根瓦(やねがわら)、甕(かめ)の原料として利用されてきた。現在、厄除(やくよ)けの「木の葉猿」で知られる土俗玩具(がんぐ)は、祭器造りのあとの余土を利用したものといわれる。西南戦争においては戦場となっただけでなく、最激戦地となった田原坂(たばるざか)の攻防戦では官軍の最前線基地にもなった。日赤発祥の契機となった傷病兵救病施設跡や官軍墓地がある。

[山口守人]


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普及版 字通 「木葉」の読み・字形・画数・意味

【木葉】もくよう(えふ)

木の葉。〔楚辞、九歌、湘夫人〕子、北(くだ)る 目、眇眇(べうべう)として予(われ)を愁へしむ 嫋嫋(でうでう)たる秋風 洞波だちて木下る

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