デジタル大辞泉
「来序」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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らい‐じょ【来序・雷序】
- 〘 名詞 〙
- ① 能・狂言で、神・精霊・王・天狗など、神聖荘重な役の登退場の際に用いる囃子(はやし)。大小の鼓と太鼓で囃し、笛であしらう。「嵐山」「白楽天」などのシテ・ツレの中入の際の中入来序や、「咸陽宮」「鶴亀」などのシテ・ワキの登場の際の真の来序、また、中入後、末社の神に扮した間狂言の登場の際の狂言来序(末社来序)などがある。雷声(らいじょう)。
- [初出の実例]「若行幸有たらば此方へしらせて給り候へや 来序にて王出で、台へ上り皆々座着くと、来序打上る」(出典:虎寛本狂言・唐相撲(室町末‐近世初))
- ② 歌舞伎・文楽で用いる下座の鳴物の一つ。①から長唄に移入したものだが、特に狐の出入り、また狐に関係ある曲目や役柄に用いる。太鼓、大小鼓、能管に大太鼓のドロドロを加え、俗にヒイ(笛)テン(太鼓)ドロ(大太鼓)という。
- [初出の実例]「鳴物の雷序(ライジョ)とす」(出典:洒落本・見通三世相(1796か)序)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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来序
らいじょ
邦楽の囃子の手の名称。 (1) 能では,登・退場の際の囃子の名。大・小の鼓と太鼓に笛が加わってはやす。『鶴亀』『西王母』などの帝王登場の場面などに用いられる真ノ来序と,神,天狗,鬼畜などの化身である前ジテの退場に用いられる中入り来序とがある。後者の退場後,間 (あい) 狂言の登場に用いられる来序を末社来序という。 (2) (1) の真ノ来序を模したものが狂言『唐相撲』の帝王の登・退場に用いられる。 (3) (1) を変形して歌舞伎囃子とし,主としてきつねに関係ある場面に用いる。「雷序」「雷声」とも書く。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の来序の言及
【歌舞伎】より
…〈雪音〉と〈なだれ〉を総称して〈雪おろし〉ともいう。 来序(らいじよ)能囃子を襲用した四拍子に大太鼓のドロドロを加えた囃子。獣類,主として狐の化身の出入りに用いる。…
【出入事】より
…謡(うたい)がなく囃子と所作から成る囃子事小段のうち,立方(たちかた)の登・退場に用いられるものの総称。登場に用いるものを〈出端事(ではごと)〉,退場に用いるものを〈入端事(いりはごと)〉と呼ぶが,〈来序(らいじよ)〉や〈早鼓(はやつづみ)〉のように,その前半で前役のシテ,ツレなどが退場し,後半でアイなどの後役が登場するものもある。 出端事は種類が多いが,おもに大鼓(おおつづみ)・小鼓(こつづみ)で奏される[大小物]と,太鼓が加わる[太鼓物],その他のものの三つに大きく分けられる。…
【乱序】より
…役が登場して橋掛りで止まると,流シ(同一の段を打ち続けること)となり,役が舞台に入ると,謡をはさまずに直接獅子舞が接合する。この囃子事は獅子とともに歌舞伎の[所作事]にもとり入れられたが,古くは来序と呼ばれることが多かった。【蒲生 郷昭】。…
【六合新三郎(六郷新三郎)】より
…小鼓の名手で,作調(囃子の作曲)にも巧みであった。狐の変化(へんげ)などに使われる来序(らいじよ),あるいは深山,海浜の場面に打たれる〈谺(こだま)〉の手法は彼の作といわれる。また,《京鹿子娘道成寺》の〈まり歌〉〈山づくし〉の小鼓も彼の作調といわれる。…
※「来序」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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