松尾宗二(読み)まつおそうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「松尾宗二」の意味・わかりやすい解説

松尾宗二
まつおそうじ
(1579―1658)

江戸前期の茶人。物斎、楽只軒(らくしけん)と号す。千宗旦(せんのそうたん)の弟子松尾家は京の呉服商・茶人辻玄哉(つじげんさい)の子等政(とうせい)五助が母方の姓を襲ったのに始まる。五助の子が宗二。熱烈な法華(ほっけ)信者で、徳川家康弾圧対馬(つしま)配流となった日奥(にちおう)は一族辻藤兵衛(とうべえ)の子であり、その赦免の際には宗二も弟子日習(にっしゅう)に従い渡島している(1612)。宗旦について茶を修め、ほぼ同年齢ながら四天王の一人とされることもある。宗旦より楽只三種(扁額(へんがく)「楽只軒」の本紙、一重切花入と茶杓(ちゃしゃく)、ともに銘楽只)を与えられている。松尾家が名古屋に居を移したのは幕末のことである。

[村井康彦]

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改訂新版 世界大百科事典 「松尾宗二」の意味・わかりやすい解説

松尾宗二 (まつおそうじ)
生没年:1579-1658(天正7-万治1)

江戸初期の茶匠。宗旦の弟子。通称甚助。物斎,楽只軒(らくしけん)と号す。松尾家は辻玄哉(つじげんさい)の子五助が,母方の姓をとって松尾と改めたのに始まる。玄哉は天正年間(1573-92)初期まで在世した連歌師で,茶は武野紹鷗じようおう)の弟子といわれ,利休に台子の古法を授けたほどの茶人で,宗二はこの孫。さらに宗二の曾孫がのちに松尾流茶道を開く1世宗二(1677-1752)。松尾宗二が師の宗旦から贈られた楽只三種,すなわち楽只軒の扁額,銘楽只の一重切花入,同銘の茶入は松尾家の家宝とされている。
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朝日日本歴史人物事典 「松尾宗二」の解説

松尾宗二

没年:万治1.5.24(1658.6.24)
生年:天正7(1579)
江戸初期の京都の数寄者。茶道松尾流の流祖として位置づけられる。通称甚助,物斎と号した。祖父の辻玄哉は連歌師として知られ,武野紹鴎に茶を学んだ。父五助等政が松尾を姓とした。千宗旦に師事して,楽只軒の額,「楽只」と命銘した茶杓と竹花入を与えられ,この3種の茶器が松尾家の立派の根源となっている。また同家の6世に宗二(1622~1752)があり,松尾家ではこの宗二を松尾流の初代としている。名古屋に地縁を持つのは6世宗二からで,『敝帚記』(1722)の著作がある。<参考文献>井口海仙他編『日本の茶家』

(戸田勝久)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「松尾宗二」の解説

松尾宗二(2) まつお-そうじ

1677-1752 江戸時代中期の茶人。
延宝5年生まれ。松尾家5代宗俊の養子となり,京都にすむ。表千家6代千宗左(そうさ)に師事。享保(きょうほう)9年松尾流茶道をひらく。松尾流では辻玄哉(げんさい)を初代,この宗二を6代にかぞえることもある。豪商高田太郎庵らに茶をおしえ,名古屋に茶道をひろめた。宝暦2年9月5日死去。76歳。近江(おうみ)(滋賀県)出身。名は重賢。通称は治兵衛。号は楽只斎。著作に「敝帚記(へいそうき)」。

松尾宗二(1) まつお-そうじ

1579-1658 江戸時代前期の茶人。
天正(てんしょう)7年生まれ。辻玄哉(げんさい)の孫。松尾家の3代。千宗旦(そうたん)にまなび,楽只(らくし)三種(扁額,花入れ,茶入れ)をあたえられた。宗旦四天王のひとり。明暦4年5月24日死去。80歳。通称は甚助。号は物斎,楽只軒。

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百科事典マイペディア 「松尾宗二」の意味・わかりやすい解説

松尾宗二【まつおそうじ】

江戸中期の茶人。通称治兵衛。表千家第6世宗左に師事,松尾流を開く。東海地方に普及。著書《幣箒(ぬさぼうき)記》。

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世界大百科事典(旧版)内の松尾宗二の言及

【松尾流】より

…江戸中期に成立した茶道流派。千宗旦の高弟,楽只軒(らくしけん)松尾宗二(1579‐1658)の曾孫宗二が開いた一派だが,遠祖辻玄哉が武野紹鷗の弟子であったので玄哉をもって初代とし,その子辻五郎(のち松尾と改名)を2代,宗旦の弟子楽只軒宗二を3代,正行院宗政を4代,真行院宗俊を5代,そして宗俊の養嗣松尾流1世宗二を6代とし,爾来当代11世16代に至る。ちなみに1世宗二(1677‐1752)は通称治兵衛,名を重賢といい,京都に住んで茶法を表千家6世覚々斎宗左に学んだが,のち名古屋に移り,茶道を広めた。…

※「松尾宗二」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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