林業・林産業に関する試験研究機関。林野庁所管の機関や都道府県が設置するものなどがある。
林野庁所管のものは、森林研究・整備機構の森林総合研究所である。1878年(明治11)に樹木試験場として東京に設置されたのに始まり、1905年(明治38)に林業試験所として正式に発足。1910年に林業試験場に名称変更した。第二次世界大戦後の林政統一などを経て、農林水産省の外局である林野庁の所属となり、1988年(昭和63)研究組織を改編し、森林総合研究所に名称を変更した。2001年(平成13)には独立行政法人に移行。2015年、国立研究開発法人化し、2017年、森林研究・整備機構森林総合研究所と改称した。森林総合研究所における試験研究は、当面する林野行政の基礎資料を提供するとともに、林業・木材産業の技術向上に寄与するための基礎および応用研究を目的とする。
都道府県の試験研究機関は、その多くを林業試験場と呼称しているが、林業センター(栃木など)、林業技術センター(岩手、富山など)等の名称もある。各県におおむね1機関が設置されているが、北海道などには林業試験場のほかに林産試験場など2機関がある。県の林業試験場は各県林業に密着した実用技術の開発・改良が主体であり、その成果は各県行政の普及指導に直結している。また、県林業試験場は技術研修、講習会、林業相談、展示場などを設けている。試験研究課題の大半は造林部門が占め、森林保護、特用林産に関するものも多い。
[笠原義人・編集部]
林業に関する試験研究を行う機関。農林水産省の外局である林野庁の付属機関として設置されていた林業試験場のほかに,各都道府県にも林業試験場やこれに類する機関がある。国立林業試験場の沿革をみると,1878年に東京の西ヶ原に樹木試験場をつくったのが始まりで,1905年に目黒に林業試験所として正式に発足した。第2次大戦後,林政統一があり,47年に旧帝室林野局の二つの林業試験場と北海道庁の林業試験場を統合し,さらに各営林局内の試験係を吸収し,林業試験場を本支場制とし,組織の基礎をつくった。本場は茨城県の筑波学園都市に所在し,その組織は総務,調査のほか,林業に関する研究部(経営,機械化,造林,土壌,保護,防災の6部)と林産に関する研究部(林産化学,木材,木材利用の3部)の合計11部で構成されている。北海道,東北,関西,四国,九州の各支場では林業に関する地域研究を行う。さらに浅川実験林と木曾分場のほか所要の固定試験地を9ヵ所配置している。森林に関する自然科学的・社会科学的研究,木材利用に関する研究を基礎・応用にわたり広範に実行している。林業研究の宿命でもある長期にわたる研究を地道に進めるほか,時代の動き,突発的に発生した重要問題の研究についても総合的に各部門の共同研究,さらには都道府県の林業研究と連係しての協力体制により効率的に進めている。一般の研修の受入れや受託研究による斯界(しかい)への貢献のほか,海外調査や外国よりの研究員の研修の受入れも多い。これらの成果は林業試験場報告に発表するほか,年報,場報によって普及に努め,さらに各学会誌や技術書に逐次掲載されている。1988年研究組織を改編し,森林総合研究所と改称。前述の各支場は各支所となった。2001年省庁改編により独立行政法人となる。
執筆者:筒井 迪夫+橋本 与良
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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