柱島(読み)はしらじま

日本歴史地名大系 「柱島」の解説

柱島
はしらじま

[現在地名]岩国市大字柱島

現岩国市東北端の岩国港から南方二五キロほどに散在する瀬戸内海群島で、本島島・帆柱ほばしら(一名小柱)島・つづき島・なが(こつとい)福良ふくら島・鞍掛くらかけ(新五郎)くろ島・伊勢いせ島・中小なかこ島・島・保高ほうたか島の一二島からなる。その南方六キロには大島郡なさけ島が、東南六キロには伊予津和地つわじ(現愛媛県温泉郡中島町)が、東北八キロには安芸倉橋くらはし(現広島県安芸郡倉橋町)がある。

島名の初見は寿永三年(一一八四)四月二四日付の源頼朝下文案(賀茂別雷神社文書)で、賀茂別雷かもわけいかずち神社(現京都市北区の上賀茂神社)の四二ヵ所の神領に対する狼藉停止を令した中に「周防国、伊保庄・矢島・柱島・竈戸関」の名がみえる。

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改訂新版 世界大百科事典 「柱島」の意味・わかりやすい解説

柱島 (はしらじま)

安芸灘に浮かぶ面積3.1km2の小島。花コウセン緑岩からなる。山口県岩国市に属し,岩国港から南東へ26km,1日3往復の船便がある。人口213(2010)。古くは京都上賀茂神社領,中世は伊予忽那(くつな)水軍勢力下の忽那七島の一つであった(忽那諸島)。近世には,周辺の端(は)島などをあわせ12島が柱島として一括され,岩国領。漁業のほかに製塩が行われていた。現在,農業はミカン栽培,漁業は小型底引網や流し刺網が盛ん。北岸1kmの砂浜は海水浴場となり,南端の州鼻には沖合で爆沈した戦艦陸奥の〈英霊之墓〉がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「柱島」の意味・わかりやすい解説

柱島
はしらじま

山口県南東部の安芸灘(あきなだ)にある島。岩国市に属し、岩国港から26キロメートルの離島で、面積3.12平方キロメートル、人口220(2009)。近くに端島(はしま)(面積0.67平方キロメートル、人口48)や小柱島、手島、保高(ほだか)島などがあって、大小12の島群をなす。中世には伊予忽那(いよくつな)水軍に属し、近世には岩国吉川(きっかわ)氏の所領であった。1726年(享保11)の記録には、柱島の家数89軒、人口505、船数12とある。島内はよく耕地化され、ミカン園が多い。漁業は小型底引網や流し刺網、一本釣りが盛ん。島の沖合いは第二次世界大戦中、連合艦隊の停泊地で、戦艦陸奥(むつ)が爆発沈没したことで知られ、南端の州鼻に戦艦陸奥英霊之墓がある。北岸島尻(しまじり)の砂浜海岸は夏海水浴客でにぎわう。岩国港から定期船が運航している。

[三浦 肇]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柱島」の意味・わかりやすい解説

柱島
はしらじま

山口県南東部にある島。広島湾に浮び,岩国市の南東沖合い約 25kmにある。島の一部は瀬戸内海国立公園に属する。かつては岩国藩領で,いまも近くの大島 (屋代島) とは異なる民俗を伝えている。主産業は農業であるが,刺網や一本釣りの漁業も行われる。岩国港から定期船が運航する。面積 3.12km2。人口 282 (2000) 。

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デジタル大辞泉プラス 「柱島」の解説

柱島

山口県岩国市、岩国港の南東約26キロメートルに位置する柱島群島の主島。面積約3.12平方キロメートル。平安時代末期には京都・上賀茂神社の神領。島最高峰の金蔵山には展望台があり、晴れた日には四国まで見渡すことができる。1943年、島の南東沖で沈没した戦艦陸奥の犠牲者を追悼する「戦艦陸奥英霊之墓」がある。

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世界大百科事典(旧版)内の柱島の言及

【忽那諸島】より

…ほとんどの島が愛媛県温泉郡中島町を形成する。このうち中島,睦月島,野忽那島,怒和(ぬわ)島,津和地島,二神島と柱島(山口県)はかつて忽那七島と呼ばれ,南朝方についた忽那氏の勢力範囲であったが,現在は柱島にかえて興居(ごご)島(松山市)を加え,忽那七島とする。七島のほか釣(つる)島(松山市),由利島,大館場(おおたちば)島,クダコ島など20余の島が含まれ,興居島を除いて離島振興法指定地域である。…

※「柱島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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