江戸中期の思想家山県大弐(やまがただいに)の代表的著作。竹内式部(たけのうちしきぶ)らが幕府批判のゆえをもって処罰されたこと(宝暦(ほうれき)事件)を契機に、幕府の存在そのものへの批判を込めて1759年(宝暦9)成立。正名(せいめい)、得一、人文、大体、文武、天民、編民、勧士、安民、守業、通貨、利害、富疆(ふきょう)の13篇(ぺん)からなる。大弐の父が20余年前旧宅跡から掘り出した古書で織田時代を模して書かれたとしているが、尊王斥覇(せきは)思想を根底に、天下の権を握る幕府・将軍家が大義名分の大道を忘れているゆえんを繰り返し述べ、これにかわる新たな為政者の出現を希望するという倒幕への実践的意欲を示した。1767年(明和4)の大弐処刑(明和(めいわ)事件)の原因をなす。
[山口宗之]
『広瀬広一編『山県大弐遺著』(1914・甲陽図書刊行会)』
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江戸中期の政治経済論。1巻。山県大弐(やまがただいに)著。1759年(宝暦9)成立。正名以下13編。尊王斥覇(そんのうせきは)の立場に立つ山崎闇斎学派と,尚農卑商論・礼楽制度論の立場から現実の社会矛盾と為政者の責任倫理を強調した荻生徂徠(おぎゅうそらい)の思想とを結びつけた,幕藩制解体期の政治批判書。神武以来の天皇家と藤原氏による政治を中国古代の理想世に劣らぬものと讃え,保元・平治の乱以後の武家政治を批判,また君主を安天下の責任主体として機能的に把握した結果,放伐(ほうばつ)を肯定している点が特徴的である。「岩波文庫」「日本思想大系」所収。
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