日本大百科全書(ニッポニカ) 「栖本」の意味・わかりやすい解説
栖本
すもと
熊本県南西部、天草(あまくさ)郡にあった旧町名(栖本町(まち))。現在は、天草市の東部を占める地域。旧栖本町は1962年(昭和37)町制施行。2006年(平成18)本渡(ほんど)市、牛深(うしぶか)市、有明(ありあけ)町、御所浦(ごしょうら)町、倉岳(くらたけ)町、新和(しんわ)町、五和(いつわ)町、天草町、河浦(かわうら)町と合併し、天草市となった。栖本の名は中世豪族である天草五人衆の一人、栖本氏にちなむ。旧町域は、天草上島(あまくさかみしま)の南部に位置し、栖本川(河内川)水系沿いの沖積低地を除けば、ほとんど古第三系の山地からなる。第一次産業就業者率は25%を割っているが、青莢(あおさや)インゲン・甘夏ミカンの導入、クルマエビ養殖の定着、スギ・ヒノキの育成林造成などによって、かつての米麦、サツマイモ栽培にウシ・ブタ飼育を兼ね備えた農業、アジ・タコを中心とした沿岸漁業、さらに薪材・製炭材に重きを置いた林業は大きく変容している。天草五橋の開通(1966)、国道266号、県道などの改修によって、縫製工業の進出もみられる。島内の最高峰倉岳(682メートル)は眺望に優れ、観光地化しつつある。
[山口守人]