放射性降下物(読み)ほうしゃせいこうかぶつ(英語表記)fallout

翻訳|fallout

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

放射性降下物
ほうしゃせいこうかぶつ
fallout

大気中の放射性物質地上に降下したもの。発生源は,(1) 自然界からの放出,(2) 核兵器の爆発,(3) 原子力発電所から出る放射性物質や核分裂生成物の三つがあげられる。大気中に存在する放射線の大部分は宇宙線と,地殻に存在する天然ウラントリウムから拡散する気体ラドンを発生源とする。宇宙線を起源とする放射性物質には放射性炭素や放射性水素などがある。核爆発による放射性降下物は,局地放射性降下物,対流圏放射性降下物,成層圏放射性降下物の 3種類に分けられる。局地放射性降下物は,爆発が起こった場所の近くに降下する粒子の大きい放射性物質で,強い放射線を発するが寿命は比較的短い。対流圏放射性降下物は,対流圏にとどまってから降下する粒子の細かい放射性物質で,気象条件によって広範囲に拡散する。核爆発から 1ヵ月にわたり爆発地と同緯度の地域に降下することが多い。成層圏放射性降下物は,成層圏に達したきわめて細かい粒子からなり,降下が数年間続くことがあり,ほぼ世界中に拡散する。その発生は大型核兵器が爆発した際にかぎられる。成層圏の放射性物質はやがて対流圏に移動し,重力や電気的引力によって,または雨粒のような大きい粒子に付着するなどして地表に降下する。核爆発によって形成される放射性同位元素には多くの種類があるが,成層圏まで達してから降下するのは寿命の長い同位元素だけである。例としてはセシウム137(半減期 30年)やストロンチウム90(半減期 28年)があげられる。ストロンチウム90は化学的性質がカルシウムに似ているため,食物を通して体内に蓄積する可能性があり,人間や動物の生命に重大な危険を及ぼす。

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世界大百科事典 第2版の解説

ほうしゃせいこうかぶつ【放射性降下物 radioactive fall‐out】

原水爆実験によって生成され,大気中から降下する微細な放射性物質。死の灰,フォールアウトなどとも呼ばれる。内容としては核分裂生成物が主体で,ほかに爆弾構造物その他の放射化生成物およびプルトニウム239 239Puの爆発残渣などである。地表面近くでの爆発では局所降下物が多いが,爆発規模が大きい場合には放射性物質は対流圏をつき抜けて成層圏に達し,そこから地球全体にゆっくりと降下してくる。日本では成層圏降下物は偏西風により運ばれてくるため,日本海側で降下量が大きく,太平洋側では小さい。

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大辞林 第三版の解説

ほうしゃせいこうかぶつ【放射性降下物】

核実験などの際の核爆発によって生じ、地上に降下してくる放射性物質。フォールアウト。

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精選版 日本国語大辞典の解説

ほうしゃせい‐こうかぶつ ハウシャカウカブツ【放射性降下物】

〘名〙 核実験や原子力発電所の事故などによって上層大気中に飛び散り、その後、少しずつ地面に落下してくる放射性物質。フォールアウト。〔新兵器読本(1959)〕

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世界大百科事典内の放射性降下物の言及

【核兵器】より

…地表爆発は実際の爆発点が地上であるか,または上空であっても火の玉が地表に接するまでの高度の爆発である。この爆発では大量の地表物質が放射能雲に吸い込まれて上昇するため,放射性降下物による汚染が問題となるほか,爆風効果も高度によって変化する。地下爆発,水中爆発はともに爆発中心が地(水)面下にある場合であり,深度が深い場合は爆発の衝撃エネルギーの大部分が地(水)中の衝撃波として消費される。…

※「放射性降下物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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