核戦争防止国際医師会議(読み)カクセンソウボウシコクサイイシカイギ(英語表記)International Physicians for the Prevention of Nuclear War

デジタル大辞泉 「核戦争防止国際医師会議」の意味・読み・例文・類語

かくせんそうぼうし‐こくさいいしかいぎ〔カクセンサウバウシコクサイイシクワイギ〕【核戦争防止国際医師会議】

アイ‐ピー‐ピー‐エヌ‐ダブリュー(IPPNW)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「核戦争防止国際医師会議」の意味・わかりやすい解説

核戦争防止国際医師会議
かくせんそうぼうしこくさいいしかいぎ
International Physicians for the Prevention of Nuclear War

核戦争を防止する目的の医師の国際組織。アメリカ・ハーバード大学教授バーナード・ラウンBernard Lown(1921―2021)とソ連心臓学研究センター前所長エフゲニー・チャゾフYevgeniy Chazov(1929―2021)のほか米ソの医師の提唱で1980年に設立された。略称IPPNW。もともとは核実験による放射性降下物を懸念するアメリカ・ボストンの医師の運動から発展したため、本部はボストン近郊にある。2019年の時点で64か国に支部をもつ。日本支部(1982年設立)は広島県医師会内にある。

 1981年から毎年、1996年以降は隔年に国際会議を開催する。2012年(平成24)8月、広島での第20回会議には45か国1600人が参加した。会議では、原爆投下直後の広島市で軍医として救援にあたった医師と、当時8歳で被爆した医師2人が体験や核兵器廃絶に向けた思いを証言し、「二度と広島、長崎を繰り返さない」とのヒロシマ平和アピールを採択した。

 核兵器や放射能の被害を警告、調査研究もしている。2011年にはチェルノブイリ原子力発電所事故影響を報告し、福島第一原子力発電所事故直後には日本政府に子ども妊婦原発作業員の厳格な健康管理を求める要望書も出した。1985年にはノーベル平和賞受賞した。

田辺 功]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「核戦争防止国際医師会議」の意味・わかりやすい解説

核戦争防止国際医師会議【かくせんそうぼうしこくさいいしかいぎ】

International Physicians for the Prevention of Nuclear Warといい,略称IPPNW。1980年米国・ソ連の医師を中心に,東西陣営の医師が世界に核戦争の回避を訴えることを目的に設立した団体。そのモデルは,物理学者を中心に核兵器の廃絶,核問題の解決を目的に設立されたパグウォッシュ会議である。1985年には団体としてノーベル賞(平和賞)を受賞。現在も,核兵器の国際法上の違法性を問う活動などを展開している。国連では世界保健機関NGO資格をもっている。本部は米国マサチューセッツ州ケンブリッジ。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「核戦争防止国際医師会議」の意味・わかりやすい解説

核戦争防止国際医師会議
かくせんそうぼうしこくさいいしかいぎ
International Physicians for the Prevention of Nuclear War; IPPNW

医師,医学生など医療関係者の立場から,核兵器開発競争に反対を唱え,核戦争がもたらす破滅的な医学的影響について啓蒙活動を行なう国際的な連合体。本部はアメリカ合衆国のマサチューセッツ州モールデン。アメリカのバーナード・ラウン博士とソビエト連邦のエフゲニー・チャゾフ博士の提唱のもと,両国の医師らによって 1980年設立。世界 41ヵ国,会員 13万5000人にまで活動を広げ,1985年「信頼できる情報を広め,核戦争がもたらす破滅的な結末への認識を促したことによる人類への重要な貢献」をしたとしてノーベル平和賞(→ノーベル賞)を受賞した。また,核廃絶を訴える市民運動の国際組織体で,2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン ICANの設立(2007)の母体の一つにもなった。2018年現在 64ヵ国に支部をもつ。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

知恵蔵 「核戦争防止国際医師会議」の解説

核戦争防止国際医師会議

1980年、ソ連のエーゲニィー・チャゾフと米国のバーナード・ラウンが、東西の医師の協力による核戦争防止を提唱、81年以降、毎年世界会議を開催。83カ国、約20万の医師が参加。85年ノーベル平和賞受賞。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android