桐の花(読み)キリノハナ

デジタル大辞泉 「桐の花」の意味・読み・例文・類語

きりのはな【桐の花】

石森延男の児童文学作品。昭和43年(1968)発表
北原白秋の第1歌集。大正2年(1913)刊。明治42年(1909)から大正元年(1912)にかけて発表した短歌449首を収録

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「桐の花」の意味・わかりやすい解説

桐の花
きりのはな

北原白秋の第一歌集。1913年(大正2)1月東雲堂書店刊。1909年から12年にかけて発表された449首の短歌と6編の「小歌論」「詩文」からなる。序言では「この哀れなる抒情(じょじょう)歌集」「これわかき日のいとほしき夢のきれはし」と見なし、「私の詩が色彩の強い印象派の油絵ならば私の歌はその裏面にかすかに動いてゐるテレビン油のしめりであらねばならぬ。」(「桐の花とカステラ」)と『邪宗門』『思ひ出』の詩世界と『桐の花』の歌世界との関係を記している。散文は詩歌論風の要素を交えた「桐の花とカステラ」「昼の思」と清新な近代感覚を示す「植物園小品」「感覚の小函(こばこ)」。そして出獄後、人妻と牢獄に堕(お)ちた〈敗徳者〉の思いと烈(はげ)しい煩悶(はんもん)を書いた「白猫」「ふさぎの虫」からなる。「哀傷篇」は「白猫」「ふさぎの虫」の前に置かれ、「罪びとソフィーに贈る/『三八七』番」という俊子愛称と自身の囚人番号による献辞を添え、勾留(こうりゅう)中の烈しい思いが切実な抒情のリズムとなっている。

[阿毛久芳]

 時計の針Ⅰ(いち)とⅠとに来(きた)るときするどく君をおもひつめにき

『『日本近代文学大系28 北原白秋集』(1970・角川書店)』『久保田淳監修『和歌文学大系29 桐の花/酒ほがひ』(1998・明治書院)』

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改訂新版 世界大百科事典 「桐の花」の意味・わかりやすい解説

桐の花 (きりのはな)

北原白秋の第1歌集。1913年(大正2),東雲堂書店刊。おもに雑誌《スバル》《朱欒(ザンボア)》等に発表した1909年以来の短歌446首と,歌論6編を収め,伝統詩形にめざましい新風を吹き込んで,歌人白秋の名を不朽ならしめた歌集である。その新風は,フランス印象派風の繊細鋭敏な感覚,官能への陶酔,頽唐味の濃い都会情調,異国情調,江戸趣味などがまじり合った〈悲哀時代のセンチメントの精(エツキス)〉から成るものであった。〈春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外の面(とのも)の草に日の入る夕〉〈日の光金糸雀(カナリヤ)のごとく顫(ふる)ふとき硝子(ガラス)に凭(よ)れば人のこひしき〉。巻末の〈哀傷篇〉は人妻との恋愛事件の苦しみを歌って,歌風の転換をうかがわせている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「桐の花」の意味・わかりやすい解説

桐の花
きりのはな

北原白秋の第1歌集。 1913年刊。『スバル』『創作』『朱欒 (ザンボア) 』などに発表した 09年来の短歌 446首と詩的エッセー6編を収録。短歌の伝統形式のなかにフランス印象派風の感覚を取入れ,あるいは都会情緒やエキゾチシズムを,または江戸情調の官能美を素材に,近代人的感傷と退廃感情をこめてうたいあげ,当時の歌壇に目のさめるような新鮮な美しさをもたらした。耽美派の手法はここに確立されることとなった。

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事典・日本の観光資源 「桐の花」の解説

桐の花

(長野県下水内郡栄村)
信州の花・植物群落百選」指定の観光名所。

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