人の死において,その原因や状況に異常が認められるもの。この場合の異常とは,医学的なものではなく,法医学的あるいは犯罪学的な異常をいう。人の死は,大きく病死などの自然死と不自然死(外因死)とに分けられる。このいずれに属するかが不明な場合を〈変死の疑いのある死〉という。一方,不自然死はさらに,犯罪死(殺人や傷害などによる死)と非犯罪死(自殺や自過失などによる死)とに分けられる。この分類において,どちらの死であるかが不明なもの,すなわち,外因による死であることには間違いないが,その死が犯罪によるものであるか否かについては,さらに調査を要するものを〈変死〉という。変死体あるいは変死の疑いのある死体が発見された場合には,警察または検察により検視(〈検死〉の項参照)や検証が行われ,さらに死因等を明らかにする必要がある場合には,解剖(司法・行政解剖)が行われる(刑事訴訟法229条)。変死者を発見した者は,その場所が自己の占有する場所である場合を除き,届出の義務は負わないが,みだりに死体の現場を変えたり(軽犯罪法1条19号),検視を経ずに変死者を葬ること(刑法192条,変死者密葬罪)は,罰せられる。
執筆者:後藤 昭+福井 有公
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…監察医は検死によって死因を明らかにしえない場合には解剖(行政解剖)することができるが,その他の地域ではほとんど解剖されないので,かなりの誤診があるものと推定されている。なお,刑事訴訟法229条には〈変死者又は変死の疑のある死体があるときは,その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は,検視しなければならない〉と規定されている。変死(体)とは犯罪に関係する死体か否かが明らかでない死体という意味であり,鑑定のための解剖(司法解剖。…
※「変死」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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