楡次(読み)ゆじ(その他表記)Yú cì

改訂新版 世界大百科事典 「楡次」の意味・わかりやすい解説

楡次 (ゆじ)
Yú cì

中国,華北地区,山西省中部の県級市。人口48万(1994)。汾河ふんが)の支流である瀟河(しようが)に沿い,太原盆地の南東隅に位置する。古来井陘を経て河北に通ずる交通上の要地であった。春秋時代楡邑と呼ばれ,戦国時代に趙に属し,楡次と呼ばれた。漢代楡次県が置かれ,南北朝時代には晋陽(現,太原)に編入されたり,中都県と呼ばれたこともあるが,隋以降楡次県となり,明・清には太原府に属した。1954年市となり,63年廃されたが,71年復活。周辺農村の綿花食糧集散地で,紡織,機械(織機),化学工場が立地。同蒲(大同~孟),石太(石家荘~太原),太新(太原~新郷)の3鉄道の分岐点でもある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「楡次」の意味・わかりやすい解説

楡次
ゆじ / ユイツー

中国、山西(さんせい)省中部にある晋中(しんちゅう)市の市轄区。太原(たいげん)盆地南東部に位置し汾河(ふんが)の支流瀟河(しょうが)に沿う。人口61万2000(2014)。秦(しん)代に県が置かれ、1954年県治に対し市制を施行、1963年市制を廃したが、1971年復活した。1999年、晋中地区が晋中地級市になるのに伴い、その市轄区となった。汾河流域の食料、綿花の集散を行う商業中心地であったが、現在は紡織、機械、化学などの工場の立地する工業都市となっている。同蒲(どうほ)線(大同(だいどう)―華山(かざん))、石太線(石家荘(せきかそう)―太原)、太焦線(太原―焦作(しょうさく))の3鉄道が分岐する交通の要衝である。郊外地区の旧楡次県は小麦、コウリャントウモロコシアワ、綿花を産出する農業地域である。

河野通博・編集部 2017年10月19日]

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百科事典マイペディア 「楡次」の意味・わかりやすい解説

楡次【ゆじ】

中国,山西省中部の晋中市の区。太原の南に位置し,同蒲・石太・太焦3鉄路の交点にあたり,付近の綿花,穀物を集散。綿紡,電機などの工業があり,石炭,鉄を産し,刃物,はさみなどは古来,并州剪(へいしゅうせん)として有名。60万人(2014)。

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