楢葉(読み)ならは

日本大百科全書(ニッポニカ) 「楢葉」の意味・わかりやすい解説

楢葉(町)
ならは

福島県浜通り中部、双葉郡(ふたばぐん)の町。1956年(昭和31)竜田、木戸の2村が合併して成立。町名は『和名抄(わみょうしょう)』の楢葉郷による。JR常磐(じょうばん)線、国道6号が通じる。西から阿武隈(あぶくま)高地、丘陵太平洋岸と西高東低地形で、林業・農業中心の農村地域であったが、1984年東京電力福島第二原子力発電所(出力440万キロワット)が建設された。南端は常磐自動車道広野インターチェンジに近く、楢葉南工業団地がつくられた。町を東流する木戸川はサケ漁で知られる。行政的には南相馬(そうま)市に、商圏はいわき市に入る。天神原遺跡弥生(やよい)時代の再葬墓群で、出土品は国の重要文化財に指定されている。面積103.64平方キロメートル、人口3710(2020)。

[原田 榮]

東日本大震災〕2011年(平成23)の東日本大震災では死者150人・行方不明2人、住家全壊147棟・半壊1218棟を数えた(消防庁災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第159報)」平成31年3月8日)。あわせて東京電力福島第一原子力発電所の原発事故による放射能汚染によって一部地域を除き避難指示区域(のちに避難指示解除準備区域居住制限区域帰還困難区域再編)に指定された。2015年9月に避難指示は解除され、役場も町内に戻っている。常磐線も2016年に広野駅から町内竜田駅まで、2017年10月には富岡駅まで延伸して、町域での運行は再開された。しかし、2019年(令和1)6月末日時点で、町内居住率は世帯数で約65%、住民数で約55%にすぎない(楢葉町「町内居住者集計表」)。なお、東京電力は2019年7月、福島第二原子力発電所の廃炉を決定すると正式に表明した。

[編集部 2019年10月18日]

『『楢葉町史』全3巻(1985~1995・楢葉町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「楢葉」の意味・わかりやすい解説

楢葉[町] (ならは)

福島県東部,双葉郡の町。人口7700(2010)。浜通り南部に位置し,東は太平洋に臨む。西部には阿武隈高地が連なり,西高東低の地形をなす。南相馬市といわき市の間にあり,両市とのつながりが強い。JR常磐線,国道6号線が南北に縦断する。中世には岩城氏の一族楢葉氏が一帯を支配し,山田岡にその居館址がある。かつては馬産や和紙の生産が盛んであったが,現在は稲作を中心に養蚕,畜産,野菜栽培が行われている。1974年より隣接する富岡町にまたがって東京電力福島第2原子力発電所の建設が始まり,1~4号炉が82年から87年に順次,運転を開始した。これによって,就業人口の大半が2次・3次産業で占められるようになった。旧石器時代以降の各時代の遺跡が数多く分布しているが,特に天神原遺跡は重要である。2011年3月の福島原発事故に際し,町役場機能を福島県会津美里町,さらに同県いわき市へ移転した。
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百科事典マイペディア 「楢葉」の意味・わかりやすい解説

楢葉[町]【ならは】

福島県東部,太平洋に面する双葉(ふたば)郡の町。中心は陸前浜街道の街村井出で常磐線が通じる。1984年東京電力福島第二原子力発電所が建設された(2011年3月の放射性物質漏えい事故により,発電機能停止中)。西部の木戸川渓谷は紅葉の名所。東日本大震災で,町内において被害が発生。103.64km2。7700人(2010)。

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