極楽院(読み)ごくらくいん

精選版 日本国語大辞典 「極楽院」の意味・読み・例文・類語

ごくらく‐いん ‥ヰン【極楽院】

[一] 奈良市中院町にある真言律宗の寺。もと、元興寺(がんごうじ)の子院の一つで極楽坊(房)と称したが、昭和五三年(一九七八)元興寺と改称。奈良時代の僧智光創建。智光が安置した浄土曼荼羅図は有名。禅室五重塔本堂国宝元興寺極楽坊
[二] 京都市下京区亀屋町にある天台宗の寺、光勝寺の院号。または別称。空也堂。空也堂極楽院。

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デジタル大辞泉 「極楽院」の意味・読み・例文・類語

ごくらく‐いん〔‐ヰン〕【極楽院】

奈良市にある元興寺の極楽坊の旧称。→元興寺
空也堂くうやどう

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日本歴史地名大系 「極楽院」の解説

極楽院
ごくらくいん

現在は三千院の本堂で、往生極楽院阿弥陀堂の名でよばれ、国指定重要文化財。本尊阿弥陀如来、脇士観音菩薩・勢至菩薩を安置。一説に源信(恵心僧都)の妹安養尼の庵室持仏堂の旧跡と伝えるが(山州名跡志)、「吉記」承安四年(一一七四)二月一六日条には「次向大原、先礼極楽院、此寺者、真如房上人建立也、民部卿伝領、忽加修理、蓋被用兎裘地也、次謁尼公三品禅門之姉也」とみえ、高松中納言実衡妻の真如房尼(一一一四―八〇)によって建立されたことを記す。堂内の勢至菩薩の像内背面墨書に「久安四年六月廿三日僧実照」とあり、高松実衡の菩提を弔うため実衡の没年である康治二年(一一四三)から久安四年(一一四八)の間に建立されたと考えられる。極楽院はもと一寺をなし、承安四年八月一九日に再び訪れた「吉記」の筆者吉田経房は「向大原禅門許、先尋申極楽院謁申尼上之処、被住来迎院内云々、(中略)所被住者不方丈之室、哀哉々々」と、真如房尼が来迎らいこう(現左京区)へ移住していたことを記し、来迎院内の住房が極楽院の方丈にあった室より小さい旨を述べているが、これにより極楽院には一堂(常行堂)のほかに方丈のあったことが知られる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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