(読み)カヤ

デジタル大辞泉 「榧」の意味・読み・例文・類語

かや【×榧】

イチイ科の常緑高木。山野に自生し、高さ約20メートルに達する。葉は平たい線状で先がとがる。雌雄異株。4月ごろ花が咲き、翌年秋に楕円形の実がなる。実は食用油・頭髪油などの原料。材は堅く、建材・家具・碁盤将棋盤や彫刻材にする。 花=春 実=秋》「―の実は人なつかしくみちに降る/素逝」

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精選版 日本国語大辞典 「榧」の意味・読み・例文・類語

かや【榧・柏・栢】

  1. 〘 名詞 〙
  2. イチイ科の常緑高木。本州の宮城、山形県以南、四国、九州、南朝鮮の山地に生え、庭などに植えられる。観賞用のものも多い。高さ二〇メートル、直径一メートル以上にもなる。樹皮は青灰色で、老木では薄く縦にはがれる。葉は短い柄があり葉身は革質、長さ約二~三センチメートルの線状披針形で、先は硬くとがる。葉は密に互生するが、横枝では水平に開いて左右二列に並ぶように見える。雌雄異株。花期は四月ごろで、雄花は黄色の卵形で葉腋にたくさんつき、雌花は緑色で小枝の先端に数個群がってつく。種子は長さ約二~三センチメートルの楕円体で、熟して紫褐色となり、外種皮は裂ける。内種皮はかたく赤褐色で両端のとがった楕円体。胚乳は食用とし、また、油をとる。葉は臭気があり蚊やりに用いられた。材は黄色を帯び、緻密(ちみつ)で腐りにくいので、建築、器具、造船材とし、とくに碁盤、将棋盤によいとされる。ほんがや。かやのき。かえ。《 季語・新年 》 〔元和本下学集(1617)〕
  3. かや(榧)の実《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「木菓子四坏。松。柏(かや)。梨。棗。東端一行居之」(出典:正元元年東宮御元服部類記(1259)成俊記)
  4. 刺胞動物ヒドロ虫類のうち有鞘(ゆうしょう)類に属する動物の総称。一本の幹から多くの枝が出、しかも幹が岩などについて直立しているため、一見、海藻のように見える。日本沿岸には、ウミヒノキ、クロガヤ、シロガヤなどの種類があり、いずれも高さが二〇センチメートルに達するが、小形の種類も多い。シロガヤでは、人体に触れると痛みを覚え、時に治りが遅いといわれている。

榧の語誌

( 1 )カヤはカヘが変化したものと思われる。→かえ(榧)
( 2 )日本でカヤにあてられる漢字のうち、中国でもカヤを意味するものは「榧」である。「柏(栢)」は扁柏(ひのき)、側柏(このてがしわ)羅漢柏(あすなろ)、花柏(さわら)のたぐいであり、カヤとは別。


かえかへ【榧・柏】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 上代で、ヒノキ科の植物の総称か。ヒノキ、サワラ、アスナロ、コノテガシワなど。
    1. [初出の実例]「直向(ただむか)ひ 見む時までは 松柏(かへ)の 栄えいまさね」(出典:万葉集(8C後)一九・四一六九)
  3. 植物「かや(榧)」の古名。
    1. [初出の実例]「椎(しひ)、櫟(いちひ)、榧(かへ)、栗生ひ」(出典:常陸風土記(717‐724頃)久慈)
  4. (かや)の果実。かえのみ。〔十巻本和名抄(934頃)〕

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普及版 字通 「榧」の読み・字形・画数・意味


14画

[字音]
[字訓] かや

[字形] 形声
声符は匪(ひ)。かや。〔正字通〕に「榧、木皮は杉に似、大いさ、肌は細膩(さいぢ)、堅(けんじん)にして材とすべし。牝牡(びんぼ)り。牡なるさき、牝なるは實(みの)る。實は生すべし」という。

[訓義]
1. かや。
2. 字はまた(ひ)に作る。

[古辞書の訓]
本草和名〕榧實 加倍乃美(かへのみ) 〔和名抄〕榧子 加閇(かへ) 〔名義抄〕榧子 カヘ 〔立〕榧 カヘ 〔字鏡集〕榧子 カヤノミ

[熟語]
榧檜・榧子・榧実
[下接語]
玉榧・粗榧

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動植物名よみかた辞典 普及版 「榧」の解説

榧 (カヤ)

学名:Torreya nucifera
植物。イチイ科の常緑針葉高木,園芸植物,薬用植物

榧 (カヤ)

動物。ハネガヤ科,シロガヤ科などに属する海産動物の総称

榧 (カエ)

植物。児手柏・檜・椹などの常緑針葉樹の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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