病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「機械的下剤」の解説
機械的下剤
《カルメロースナトリウム製剤》
バルコーゼ(エーザイ、サンノーバ)
《クエン酸マグネシウム製剤》
マグコロール(堀井薬品工業)
マグコロールP(堀井薬品工業)
《酸化マグネシウム製剤》
《ジオクチルソジウムスルホサクシネート・カサンスラノール配合剤》
ビーマス(日本臓器製薬)
ベンコール(日医工、日医工ファーマ)
《硫酸ナトリウム配合剤》
人工カルルス塩(小堺製薬、山善製薬)
《リン酸二水素ナトリウム一水和物・無水リン酸水素二ナトリウム配合剤》
ビジクリア(ゼリア新薬工業)
便中に浸透して便を軟化させ、腸運動をゆるやかに高めて、自然の排便を促す薬です。ほかの下剤に比べて効力は比較的マイルドで、効果が現れるまでに時間はかかりますが、依存性は少ないとされています。
便秘の治療のほか、消化管を検査するときや、消化器の手術前後における腸管内の内容物の除去の目的にも使用されます。
①過敏症状をおこすことがあります。過敏症状がおこったら服用を中止し、すぐ医師に相談してください。
クエン酸マグネシウム製剤では、腸管穿孔、腸閉塞、虚血性大腸炎、高マグネシウム血症(吐き気・嘔吐、徐脈、筋力低下、傾眠など)がおこることがあります。こうした症状がおこったときは、使用を停止して、すぐ医師に報告してください。
また、リン酸二水素ナトリウム一水和物・無水リン酸水素二ナトリウム配合剤では、低カルシウム血症、低ナトリウム血症、急性腎障害、急性リン酸腎症がおこることがあります。こうした症状がおこったときは、使用を停止して、すぐ医師に報告してください。
②口の渇き、吐き気、腹痛、腹部の膨満感、腹鳴(おなかがゴロゴロ鳴る)などがおこることがあります。こうした症状がおこったときは、医師に相談してください。
①1日あるいは1回の服用量・服用時間については、医師・薬剤師の指示を守ってください。ジオクチルソジウムスルホサクシネート・カサンスラノール配合剤では、1日1回、就寝前に服用するか、1日2~3回、食間に服用するのが原則です。
また服用するときは、とくに十分な水(コップ2~3杯の水)で飲んでください。
クエン酸マグネシウム製剤やリン酸二水素ナトリウム一水和物・無水リン酸水素二ナトリウム配合剤は、大腸内視鏡検査前に服用する薬です。医師の指示通り服用してください。
②急性腹症(急激な腹痛)の疑いのある人、重症の
ジオクチルソジウムスルホサクシネート・カサンスラノール配合剤では、けいれん性の便秘、消化管閉塞のある人には使用できません。
クエン酸マグネシウム製剤では、消化管に閉塞やその疑いのある人、中毒性巨大結腸症の人、重篤な腎機能障害の人には使用できません。また、腹部外科手術を行ったことのある人、腸管憩室・腸管狭窄・高度の便秘のある人、誤嚥をおこすおそれのある人、高齢者などは、医師に相談してから用いてください。
リン酸二水素ナトリウム一水和物・無水リン酸水素二ナトリウム配合剤では、うっ血性心不全または不安定狭心症、QT延長症候群、重篤な心室性不整脈、腹水を伴う病気の合併、胃腸管閉塞症またはその疑い、中毒性巨大結腸症などがある人、生検により急性リン酸腎症が判明している人、高血圧症の高齢者、透析を含む重い腎機能障害、過去にこの薬で過敏症をおこしたことがある人は使用できません。また、急性の心筋梗塞及び心臓手術を受けたことのある人、弁膜症などの基礎心疾患のある人、過去に心筋症をおこしたことのある人、QT延長及び不整脈のコントロールができていない人、腎機能障害、けいれん発作をおこしたことがある人及びそのリスクが高い人、腹部手術歴のある人、薬物過敏症の人、高齢者は、医師に相談してから用いてください。
③下剤に頼った排便を続けていると、自然な腸の運動ができなくなり、薬をより増量しないと効果が現れなくなってしまいます。便秘の治療の基本である、消化のよい、食物繊維の豊富な食事、十分な運動、規則正しい排便習慣を実践してください。
④ほかの病気の治療で薬を服用している人は、あらかじめ医師に報告し、下剤を服用するときは、併用している薬を飲んだ2時間後以降に服用するようにしてください。
⑤妊婦、現在妊娠している可能性のある人、日頃から下剤を常用している人には、使用量を減量するといった配慮が必要になりますので、医師に必ず報告してください。
出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報