止む(読み)ヤム

デジタル大辞泉 「止む」の意味・読み・例文・類語

や・む【▽止む/×已む/▽罷む】

[動マ五(四)]
1 風・雨・雪など、自然現象の動きがなくなる。「夕立が―・む」「風が―・む」
2 続いていたことがとまる。物事にきまりがつく。終わる。「騒動が―・む」「銃声が―・む」「死して後のち―・む」
3 高まった感情や病気などがおさまる。
「わたつみの海に出でたる飾磨しかま川絶えむ日にこそ吾あが恋―・まめ」〈万・三六〇五〉
[動マ下二]「や(止)める」の文語形。
[類語](1)降り止む・上がる・雨上がり・雨後/(2)とだえる・とぎれる・絶える・尽きる・果てる・極まる・終わる

とど・む【▽止む/▽留む/▽停む】

[動マ上二]とどめる。とめる。
「世の理ことなれば―・みかねつも」〈万・八〇五〉
[動マ下二]「とどめる」の文語形。

と・む【止む/留む/▽停む】

[動マ下二]「と(止)める」の文語形。
[類語]終わる・止まる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「止む」の意味・読み・例文・類語

や・む【止・已・罷】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙
    1. ① 続いていた自然現象の動きが消えてなくなる。風波、雨、雪などがおさまる。
      1. [初出の実例]「春雨の止(やま)ず降る降る吾が恋ふる人目をすらにあひ見せなくに」(出典:万葉集(8C後)一〇・一九三二)
      2. 「かく、おびたたしく振る事は、しばしにてやみにしかども」(出典:方丈記(1212))
    2. ② 物事が途中で行なわれなくなる。続いてきたある状態がとだえる。
      1. [初出の実例]「わが背子が屋戸の山吹咲きてあらば也麻(ヤマ)ず通はむいやとしのはに」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三〇三)
      2. 「ものいはぬちごの泣き入りて、乳も飲まず、乳母のいだくにもやまで久しき」(出典:枕草子(10C終)一五〇)
    3. ③ 事をしないでおく。
      1. [初出の実例]「みつみつし 久米の子らが 粟生には 臭韮(かみら)一本 其ねが本 其根芽つなぎて 撃ちてし夜麻(ヤマ)む」(出典:古事記(712)中・歌謡)
      2. 「京にとどめて、ながき別れにてやみぬべきなり」(出典:更級日記(1059頃))
    4. ④ 物事にきまりがつく。事が終わりになる。
      1. [初出の実例]「朝廷の騒動やむ時なし」(出典:平家物語(13C前)七)
    5. ⑤ 高まった気持や、病気などがおさまる。
      1. [初出の実例]「わたつみの海に出でたる飾磨川絶えむ日にこそ吾が恋夜麻(ヤマ)め」(出典:万葉集(8C後)一五・三六〇五)
      2. 「法皇御憤いまだやまず」(出典:平家物語(13C前)三)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 ⇒やめる(止)

とど・む【止・停・留】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 マ行上二段活用 〙 =とどめる(止)
    1. [初出の実例]「同輩児(よちこ)らと 手たづさはりて 遊びけむ 時の盛りを 等々尾(トドミ)かね 過しやりつれ」(出典:万葉集(8C後)五・八〇四)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 ⇒とどめる(止)

止むの補助注記

( [ 一 ]について ) ( 1 )挙例の「万葉集」に見える「等々尾」や「等騰尾」の「尾」は乙類の文字であるので、上二段活用と考えられる。ただし「尾」の使用は憶良の歌に限られるようなので、憶良が意図的に古形もしくは九州方言を利用している可能性もある。
( 2 )前項の名詞「とどみ(停)」の万葉例では、「み」が甲類音であるので、そこから四段活用動詞「とどむ」の存在を想定する説もある。


と・む【止・留・停・泊】

  1. 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 ⇒とめる(止)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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