終る(読み)オワル

デジタル大辞泉 「終る」の意味・読み・例文・類語

おわ・る〔をはる〕【終(わ)る】

[動ラ五(四)]
続いていた物事が、そこでなくなる。しまいになる。済む。「授業が―・る」「一生が―・る」⇔始まる
(「終わった」「終わっている」の形で)廃れる。人気が衰える。「あの歌手はもう―・っている」
(「…におわる」「…でおわる」などの形で)期待された結果が得られないまま、それが最後状態になる。「失敗に―・る」「夢で―・る」
動詞の連用形に付いて、動作作用が完結する意を表す。…しおわる。…てしまう。「食べ―・る」
しまいにする。終える。「会議を―・ります」⇔始める
生命が尽きる。死ぬ。
「笑へるごとくにて―・り給ひにけり」〈著聞集・二〉
[可能]おわれる
[類語](1済む片付く上がる引ける跳ねる終了する完了する完結する結了する終結する終決する終止する終息する閉幕する幕になる幕を閉じるちょんになるけりが付くかたが付く終わりを告げる終止符を打つピリオドを打つ期間が)明ける満了する(終わってなくなる)尽きる果てる極まる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「終る」の意味・読み・例文・類語

おわ・るをはる【終・了・卒・畢】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
    1. (時間的または空間的に)続いていたものがなくなる。果てる。しまいになる。済む。⇔始まる
      1. (イ) それ以上続かない状態になる。
        1. [初出の実例]「嘆きつつ 吾(あ)が待つ君が 事(こと)乎波里(ヲハリ) 帰りまかりて」(出典:万葉集(8C後)一八・四一一六)
      2. (ロ) ( 「…に終わる」の形で ) 好ましくない結果になる。
        1. [初出の実例]「龍頭蛇尾に終りたること、吾身ながら腑甲斐(ふがい)なくて」(出典:妾の半生涯(1904)〈福田英子〉三)
    2. 死ぬ。往生する。みまかる。
      1. [初出の実例]「いのちをはらむ月日も、更になしろしめしそ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
    3. ( 動詞の連用形に付いて ) ある動作・作用が完結する。すっかり…する。
      1. [初出の実例]「イイ vouaru(ヲワル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
      2. 「迸しる砂烟は〈略〉見渡す限りに有りとある物を封じ了る」(出典:趣味の遺伝(1906)〈夏目漱石〉二)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙 終了させる。おしまいにする。終える。
    1. [初出の実例]「我輩は已に晩餐を了(ヲハ)ったから」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉二)
    2. 「彼は平凡なスコットランド王国でその一生を終ったに違いない」(出典:シェイクスピア(1952)〈吉田健一〉マクベス)

終るの語誌

類義の「果(は)つ」が、和文ではふつうに使われるのに対して、「をはる」は和文ではあまり見られず、漢文訓読語の色あいが強い。また、説話類に多い「いのちをはる」「ことをはる」は「命終」「事訖」などの訓読語として定着したものである。→畢(おわ)んぬ

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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