止まる(読み)トドマル

デジタル大辞泉 「止まる」の意味・読み・例文・類語

とどま・る【止まる/留まる/停まる】

[動ラ五(四)]
進行していたものが停止する。立ちどまる。「―・ることなく水が流れる」
「車は…家の入口に―・りぬ」〈鴎外舞姫
同じところ・地位にそのままいて動かないでいる。「現職に―・る」「首位に―・る」
滞在する。「当地には、一〇日―・る予定」
行かないで、あとに残る。「現地に―・って指導にあたる」「責任者は本部に―・る」
その範囲限度を越えないでいる。「期待されたが、平凡な記録に―・った」「問題点を指摘するに―・る」
中止になる。
「まうのぼり給ふことも―・り」〈大鏡兼通
しとめられる。
鹿ししは少しもはたらかず、二つの矢にてぞ―・りける」〈曽我・八〉
最上である。それが一番すぐれている。
狂歌といふものはおそらく江戸に―・ったね」〈滑・浮世風呂・四〉
[類語](1まる停滞する停止するストップする踊り場横ばい足踏み渋滞難航難渋停頓/(3滞在する逗留とうりゅうする滞留する/(4残る居残る残留するとどめる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「止まる」の意味・読み・例文・類語

とどま・る【止・停・留】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. ひとところにあって動かなくなる。移動しないで、同一の場所にある。静止している。
    1. [初出の実例]「高き荒海を 島伝ひ い別れ往かば 留有(とどまれる) 吾れは幣(ぬさ)引き 斎(いは)ひつつ 君をばやらむ はや帰りませ」(出典万葉集(8C後)八・一四五三)
  3. 動いていたものが静止の状態にはいる。動くのをやめる。たちどまる。
    1. [初出の実例]「頭面をもちてみ足を礼し、却きて一面に住(ととマリ)つつ」(出典:斯道文庫本願経四分律平安初期点(810頃))
  4. つかえて進まなくなる。とどこおる。渋滞する。よどむ。
    1. [初出の実例]「法の於に尋思するに暫くも停(トトマル)こと無し」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)五)
  5. やめになる。中止になる。やむ。
    1. [初出の実例]「花山院歌合せさせ給はむとしけるに、とどまり侍りにけれど」(出典:後拾遺和歌集(1086)秋上・三二三・詞書)
  6. やどる。とまる。滞在する。逗留する。宿泊する。
    1. [初出の実例]「則ち其の採(と)れる所の御綱葉を海に投(なけい)れて着岸(トドマリ)たまはず」(出典:日本書紀(720)仁徳三〇年九月(前田本訓))
    2. 「詣でて帰りける道に、宇治の院といふ所にとどまりて侍りけるに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夢浮橋)
  7. 遺物として残る。この世に生きて残る。また、他のものの去ったあとに残る。
    1. [初出の実例]「松の葉の散り失せずして、まさきのかづら永く伝はり、鳥の跡久しくとどまれらば」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
  8. 殺される。獣などが仕止められる。とどめを刺される。
    1. [初出の実例]「鹿は少しも働かず、二つの矢にてぞとどまりける」(出典:曾我物語(南北朝頃)八)
  9. 最高のものとする。
    1. [初出の実例]「人の父としては慈にとどまり、人の子として孝にとどまるといふ」(出典:浄瑠璃・山崎与次兵衛寿の門松(1718)中)
  10. それ以上にならなくなる。その範囲を越えなくなる。
    1. [初出の実例]「和漢に名ある稗官者流はひたすら脚色(しくみ)の皮相にとどまるを拙しとして」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上)
    2. 「ただの噂話といふ程度では止(トド)まらなかった」(出典:大道無門(1926)〈里見弴〉隣人)
  11. 現在の地位や職から動かないでいる。
    1. [初出の実例]「原級にとどまった生徒なので」(出典:彼の歩んだ道(1965)〈末川博〉四)
  12. 留意する。注意する。心を向ける。それにひきつけられる。
    1. [初出の実例]「なべてならずもてひがみたる事好み給ふ御心なれば、御身ととまらむをやと見奉る」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
  13. ( 他動詞的に用いて ) しようと思ったことをやめる。思いとどまる。
    1. [初出の実例]「ジガイヲ todomaru(トドマル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))

やま・る【止】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 続いて来た物事が途絶える状態になる。
    1. [初出の実例]「けど、明日で馬鹿が止(ヤ)まらないと、するとつまんないなあ」(出典:悲しき配分(1922)〈鷹野つぎ〉)

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