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歴史人口学 れきしじんこうがく historical demography

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

歴史人口学
れきしじんこうがく
historical demography

近代的な統計調査が登場する以前の社会の人口現象を,家族復元法という独特の方法によって実証的に研究する学問。経済学,経済史の両者を部分的に含む学際的なところに特徴があり,社会史研究といわれる分野とも密接な関係にある。

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世界大百科事典 第2版の解説

れきしじんこうがく【歴史人口学 historical demography】

人口現象の変動を,歴史をさかのぼって後づけようとする新しい学問分野であり,現代社会科学の一つである〈人口学〉の概念と分析方法に依拠している点で,恣意的な推論の域を出なかったかつての〈人口史population history〉とは性格を異にしている。第2次世界大戦後,フランスイギリスを中心に急速な発展を遂げ,その後,アメリカドイツ,日本などでも,着実な成果を挙げつつある。 近代的な人口統計が整備されるようになるのはヨーロッパでも19世紀に入ってからであるが,歴史人口学は,前統計時代についても,〈教区簿冊parish register〉を基本史料として用いることにより,精度の高い人口動態の分析を行うことに成功した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

歴史人口学
れきしじんこうがく
historical demography

過去に、しばしば人口学的目的以外のために作成された諸記録に対する今日の人口学的分析方法の適用をいう。人口の歴史に対する関心は、歴史自体の研究と同じく古くから存在する。だが人口学の一専門分科としての歴史人口学は20世紀にその起源をもつ。統計学と同様、それは方法学の分野に属する。歴史学の一部門としての人口史と歴史人口学との間には大きな差異がある。それは全体学と方法学との差異である。人口史は過去の人口変動の解釈説明を目ざすものであるのに対し、歴史人口学はそれが用いる資料およびその分析方法に特色をもつ。
 歴史人口学は第二次世界大戦後、ヨーロッパ、とくにフランスおよびイギリスで確立、発展したが、1965年以降は北アメリカやラテンアメリカでも歴史人口学への熱心な関心が生じている。フルーリイMichel FleuryとアンリLouis G. Henryによる教区記録簿に基づく家族復原や、リグリィEdward A. Wrigleyのサリー州(イングランド南部)コリトン教区の研究は歴史人口学の嚆矢(こうし)をなす。キリスト教の教会は洗礼、結婚および埋葬を14世紀以来記録してきているから、原資料はヨーロッパに豊富に存在する。研究範囲は、最初、村落のモノグラフ的研究が中心だったが、最近では大都市や地方および全国のサンプルの研究にまで対象が広がってきている。アメリカではセンサス原簿に基づき、世帯、家族構成、移動、人種および職業構造を明らかにする研究方法がとられている。資料の記録漏れに対しては、モデル生命表に基づく死亡率補正、妊娠歴に基づく出産間隔の検討などの手法が利用されている。
 歴史人口学の研究により、先進諸国の近代化以前の人口学的特質に関するわれわれの知識は大きく前進した。それはさらに発展途上国の人口問題に対して大きな示唆を与えてくれるだろう。歴史人口学により開発された分析手法は、発展途上国の人口データの分析や補正にも役だつものが多い。日本の場合、江戸期の宗門人別帳や明治以降の原籍簿は歴史人口学のための好個の基礎材料である。[皆川勇一]
『速水融著『近世農村の歴史人口学的研究』(1973・東洋経済新報社) ▽E・A・リグリィ著、速水融訳『人口と歴史』(1971・平凡社)』

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世界大百科事典内の歴史人口学の言及

【数量経済史】より

…その代表的なものは,イギリスのディーンP.Deane,コールW.A.Cole,フランスのマルシェフスキーJ.Marczewskiに代表されるような,国民経済計算の枠組みを用いた経済成長の分析であろう。このほかフランスでは,シミアンF.Simiand,ラブルースC.E.Labrouseの物価史が著名であるが,近年最も注目されているのはアンリL.Henryの開発した教区簿冊を利用した豪族復原法による人口史研究(歴史人口学)であろう。この方法は,その後イギリス等でも活用され,センサス以前の時代の人口動態を明らかにするうえで大きな業績をあげている。…

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