毒重石(読み)ドクジュウセキ(その他表記)witherite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「毒重石」の意味・わかりやすい解説

毒重石
どくじゅうせき
witherite

無水炭酸塩鉱物の一つ。あられ石と同構造の鉱物で、あられ石のバリウム置換体。低温熱水鉱脈中に産し、中性ないしアルカリ性の条件下での産物自形は双晶によって六角両錐(りょうすい)状、錐面の発達した六角柱状などになる。紫外線、電子線、X線などの照射で青白く蛍光する。方解石、蛍石(ほたるいし)などとともに産する。日本においては、かつて秋田県八森(はちもり)町(現、八峰(はっぽう)町)発盛(はっせい)鉱山(旧、椿(つばき)鉱山。閉山)の鉱脈の脈石鉱物として産したのが唯一の例であるが、現在では産出していない。英名は、この鉱物の発見者であるイギリスの鉱物学者ウィリアム・ウィザリングWilliam Withering(1741―1799)にちなむ。和名はその成分に毒があることによる。

加藤 昭 2018年5月21日]


毒重石(データノート)
どくじゅうせきでーたのーと

毒重石
 英名    witherite
 化学式   Ba[CO3
 少量成分  Ca,Sr,Pb
 結晶系   斜方
 硬度    3~3.5
 比重    4.31
 色     白,淡黄
 光沢    ガラス~樹脂
 条痕    白
 劈開    一方向に明瞭
       (「劈開」の項目を参照)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「毒重石」の意味・わかりやすい解説

毒重石
どくじゅうせき
witherite

BaCO3バリウムの主要鉱石鉱物。斜方晶系。硬度3~3.5,比重 4.3。ガラス光沢,無色か各種の淡色を帯びる。X線などでケイ光,リン光を発する。低温熱水性の鉱脈として重晶石などとともに産する。英名はイギリスの物理・鉱物学者 W.ウィザリングにちなみ命名。

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