翻訳|barite
無水硫酸塩鉱物でもっとも普通のバリウムの鉱物の一つ。低温熱水鉱脈鉱床、黒鉱鉱床、温泉沈殿物、変成層状マンガン鉱床中に産するほか、堆積(たいせき)岩中にほとんど重晶石のみからなる岩石として産し、また砂漠地域ではしばしば「砂漠の薔薇(ばら)」と称する扁平(へんぺい)な結晶の花卉(かき)状集合体を形成する。自形は多く斜方板状で、色、大きい比重、低硬度、劈開(へきかい)などが特徴。日本では、北海道札幌市手稲(ていね)鉱山(閉山)、同小樽(おたる)市松倉鉱山(閉山)、秋田県鹿角(かづの)郡小坂(こさか)町小坂鉱山(閉山)などをはじめ、含鉛変種を産した秋田県玉川温泉などが産地として有名である。英名は「重い」を意味するギリシア語barysに由来する。
[加藤 昭 2017年5月19日]
重晶石
英名 barite,baryte(正式名称)
化学式 Ba[SO4]
少量成分 Pb,Sr,Ca
結晶系 斜方(直方)
硬度 3~3.5
比重 4.47
色 無,白
光沢 ガラス
条痕 白
劈開 一方向に完全
二方向にやや完全
(「劈開」の項目を参照)
Ba,Pb,Srのような2価の陽イオンをAで表すと,ASO4で示されるような化学組成をもち,かつ同一の結晶構造を有する諸鉱物を重晶石族と呼ぶ。重晶石,硫酸鉛鉱anglesite PbSO4,天青石SrSO4がこれに属する。
重晶石は化学組成BaSO4の鉱物。斜方晶系。薄いまたは厚い板状の結晶,a軸またはb軸の方向に伸びた結晶として産する。また塊状,粒状,繊維状,鍾乳状,土状をなしても産する。へき開{001}に完全,{210}にやや完全。モース硬度3~3.5,比重4.50。非金属鉱物としては比較的重いのでこの名前がついた。ガラスまたは樹脂状光沢。無色,白色,帯黄色~褐色,帯青色,帯緑色,帯赤色など。紫外線下で蛍光やリン光を発することがある。中~低温の熱水鉱床中に脈石鉱物として産する。日本では黒鉱鉱床中に多量の重晶石を伴うことが多い(秋田県花岡・小坂両鉱山,北海道小樽松倉・南白老両鉱山)。重いことを利用して織物や紙などの重量を増すために混ぜて用いられる。また白色ペンキ,塗料の原料となり,石油掘削用泥水にも用いられる。
執筆者:加藤 敏郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
baryte ,barite
化学組成BaSO4の鉱物。直方晶系,空間群Pnma, 格子定数a0.885nm, b0.543, c0.713,単位格子中4分子含む。晶癖板状,柱状,産状は塊状・粒状・繊維状・鍾乳状・土状。劈開{001}完全,{210}やや完全,{010}通常不完全,硬度3~3.5,比重4.50。ガラスまたは樹脂状光沢,無色・白色,または黄・褐・暗褐・赤・灰色,まれに緑・青色,包有物により着色,透明~半透明。反磁性。薄片中無色・淡黄・褐・緑・青色など,屈折率α1.6362, β1.6373, γ1.6482, 2V(+)37°,光分散r>v弱,多色性弱。BaをSrが置換,Pb・Caがある程度置換。酸に不溶。中~低温鉱床の脈石鉱物として,また石灰岩その他の堆積岩中にも産出する。ギリシア語のbaroz(重い)から命名。
執筆者:吉井 守正
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