日本大百科全書(ニッポニカ) 「炭酸バリウム」の意味・わかりやすい解説
炭酸バリウム(データノート)
たんさんばりうむでーたのーと
BaCO3 | |
式量 | 197.3 |
融点 | 1740℃(CO2高圧下) |
沸点 | ― |
比重 | γ;4.43 |
結晶系 | |
屈折率 | (n)γ;1.529(c軸に平行) |
溶解度 | 2.2mg/100g(水18℃) |
炭酸バリウム
たんさんばりうむ
barium carbonate
炭酸のバリウム塩。天然には毒重石(どくじゅうせき)として産する。水酸化バリウムの水溶液に二酸化炭素を通じるか、バリウム塩の水溶液に炭酸アルカリを加えると沈殿してくる。工業的には、重晶石BaSO4を600~800℃で炭素で還元して硫化バリウムとし、その熱水溶液に二酸化炭素を通じて製造する。普通は無色の斜方晶系の結晶であるが、ほかに非晶質と六方晶系結晶の二変態がある。水にはほとんど溶けない。酸によって分解して二酸化炭素を発生する。二酸化炭素を含む水には炭酸水素バリウムとなって溶ける。炭酸カルシウムに比べ熱分解しにくい。バリウム塩やクリスタルガラス、光学ガラスの原料となるほか、陶磁器やほうろうのうわぐすり、金属熱処理の浸炭剤、殺虫剤や殺鼠(さっそ)剤に用いられる。有毒。
[鳥居泰男]