改訂新版 世界大百科事典 「毘曇宗」の意味・わかりやすい解説
毘曇宗 (びどんしゅう)
Pí tán zōng
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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中国仏教の宗派。中国南北朝時代に、インド仏教の一部派である説一切有部(せついっさいうぶ)(サルバースティバーディンSarvāstivādin)の諸論書をおもに用いて部派仏教の研究・講義を行った一派をいう。とくに法勝(ほっしょう)の著した『阿毘曇心論(あびどんしんろん)』や法救(ほつぐ)の著した『雑(ぞう)阿毘曇心論』などが用いられた。その担い手はこれら諸論書を漢訳したインド人の学僧とその弟子の中国僧たちである。毘曇とは阿毘曇の省略語であり、サンスクリット語アビダルマAbhidharma、パーリ語アビダンマAbhidhammaの音訳の旧訳(くやく)であるから(唐の玄奘(げんじょう)以後の新訳ではおもに阿毘達磨(あびだつま)と音訳される)、毘曇宗は旧訳時代のアビダルマ論書研究者の一群であり、仏教基礎学として流行した。しかし玄奘の新訳アビダルマ論書が現れてからは、その平明な訳風のために旧訳が用いられることが少なくなり、新訳に基づく倶舎(くしゃ)宗、法相(ほっそう)宗にとってかわられ、勢力をまったく失った。
[加藤純章]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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