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説一切有部 せついっさいうぶsarvāstivādin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

説一切有部
せついっさいうぶ
sarvāstivādin

薩婆多部と音写され,有部と略称される。釈尊死後 300年頃,仏教は 20部派に分裂したが,説一切有部はそのなかの一派で,上座部から分れた。その特徴は,我空法有,三世実有法体恒有を説くところにある。過去,現在,未来のいずれに存在するものも実在であるという。また諸法を五位七十五法に分けて説明する。『大毘婆沙論』『六足論』『発智論』は有部の教義を述べたもので,『倶舎論』もまた有部の教義を述べている。

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デジタル大辞泉の解説

せついっさい‐うぶ【説一切有部】

部派仏教(ぶはぶっきょう)20部のうちの一派。開祖迦多衍尼子(かたえんにし)。論を中心とし、生命の中心的な我は空であるが存在を構成する実体は在るなどと主張。一切有部。有部。

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百科事典マイペディアの解説

説一切有部【せついっさいうぶ】

有部とも。小乗仏教の代表的一派。釈迦の滅後300年のころ,上座部より分かれた。部派の祖はカタヤーヤニプトラ。自我は非実在,構成諸要素(諸法)は実在と見て,全宇宙を五つの範疇(はんちゅう)と75の構成要素(五位七十五法)に分ける整然たる体系をつくり上げた。
→関連項目経量部大毘婆沙論

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世界大百科事典 第2版の解説

せついっさいうぶ【説一切有部】

小乗仏教の上座部から分派した一部派。サンスクリットでサルバースティバーディンSarvāstivādinといい,有部と略称される。分派史《異部宗輪論》によれば,成立は前2世紀の前半である。その後しばらくして迦多衍尼子(かたえんにし)が現れ《発智論(ほつちろん)》を著し,有部の体系を大成したという。しかし現在の研究では,有部の名の出る最古の碑文が後1世紀初頭であることから,その成立は上の年代よりやや下るものと考えられている。

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大辞林 第三版の解説

せついっさいうぶ【説一切有部】

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世界大百科事典内の説一切有部の言及

【上座部】より

… 根本上座部は《異部宗輪論》によれば雪山(せつせん)部(ハイマバタHaimavata)とも呼ばれたという。上座部の教義は明らかではないが,その後200年してこの部派はさらに分裂を繰り返し,その中の犢子(とくし)部,化地(けじ)部,説一切有(せついつさいう)部,法蔵部,経量部などは精緻にして特色あるアビダルマ(論蔵)を構成して,部派仏教(小乗仏教)の展開に大きく貢献し,仏教思想全体に多大な影響を与えた。大衆部【加藤 純章】。…

【小乗仏教】より

…小乗仏教の思想は釈迦とその直弟子たちの初期仏教と,後の大乗仏教を理解する上にも重要である。 小乗仏教の中で特に重要な部派は,大衆(だいしゆ)部説一切有(せついつさいう)部,犢子(とくし)部,化地(けち)部,法蔵部,経量(きようりよう)部などであるが,現存資料としてはスリランカ上座部の伝持するパーリ語で書かれた論蔵と,漢訳に伝わる説一切有部のものがほぼすべてであり,他部派の論蔵はきわめて少ない。 小乗仏教の教理の特徴は,釈迦の教えをいかに正確に理解し整備するかという点にある。…

【部派仏教】より

…この20部派およびこれらの部派に所属する経・律・論に説かれた教説が〈部派仏教〉と定義される。代表的な部派としては,西北インドに栄えた説一切有(せついつさいう)部,中西インドの正量(しようりよう)部,西南インドの上座部(以上,上座部系),南方インドの大衆部などが挙げられる。大乗仏教から特に攻撃対象とされたのは説一切有部であり,後に大乗に転向した無著(むぢやく),世親の兄弟は,初めこの部派に属していた。…

【竜樹】より

…これを評価して,中国や日本では〈八宗の祖師〉と仰がれている。彼は,その主著《中論》(正確には《中頌》)において説一切有部(せついつさいうぶ)を代表とするいっさいの実在論を否定し,すべてのものは真実には存在せず,単に言葉によって設定されたのみのものであると説いている。この主張を受け継いで成立したのが中観派である。…

※「説一切有部」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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