家庭医学館 「毛瘡(かみそりまけ)」の解説
もうそうかみそりまけ【毛瘡(かみそりまけ) Sycosis】
ひげの生えた部分、とくに鼻の下や頤(おとがい)(下顎(したあご))の毛孔(もうこう)が化膿(かのう)する病気です。
[原因]
黄色(おうしょく)ブドウ球菌(きゅうきん)、表皮(ひょうひ)ブドウ球菌の感染です。毛孔の浅い部分が化膿したものと、深い部分まで化膿が進んだものとが混在します。
[症状]
初めは、ひげの根本の毛孔のところに紅(あか)いぶつぶつ、またはその先端に白く膿(うみ)をもったぶつぶつがまばらにできます。しだいに数が増え、隣り合うものが融合したりして深い病巣となり、大きさも小豆(あずき)大、大豆(だいず)大、ソラマメ大と大きくなり、より集まって、さらに大きなかたまりになることもあります。軽い痛みがあります。
口ひげやあごひげの生えたところによくみられますが、頬(ほお)ひげのあたりまで広がることもあります。
白癬菌(はくせんきん)(みずむし、たむしの菌)が感染して同じような症状がおこることがありますが、その場合は発疹(ほっしん)が片側にかたよりやすいものです。
[治療]
抗生物質の内服から開始します。症状が改善して、小さなぶつぶつが出たり消えたりする状態になれば、抗生物質の塗り薬にかえます。
ただし、慢性化することもかなりあります。白癬菌の感染による慢性化の場合は、白癬菌に有効な抗真菌薬(こうしんきんやく)を内服します。
日常生活の注意としては、症状が激しいときには、ひげ剃(そ)りは行なわず、ハサミでひげを切るようにします。顔はぬるま湯で、石けんを使ってやさしく洗います。
[予防]
石けんを使い、朝夕ていねいに顔を洗いましょう。ひげ剃りは電気カミソリ、それも水洗いができるものを使うようにします。むやみに深剃りしないように気をつけます。