毛瘡(読み)もうそう

精選版 日本国語大辞典 「毛瘡」の意味・読み・例文・類語

もう‐そう‥サウ【毛瘡】

  1. 〘 名詞 〙 皮膚病一種。上口唇下顎部の硬毛の毛穴細菌がはいり、赤く腫(は)れたり、膿(うみ)を持ったりするもの。治療がむずかしく、後には激しい痛みを伴って、局部が赤く割れることもある。

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家庭医学館 「毛瘡」の解説

もうそうかみそりまけ【毛瘡(かみそりまけ) Sycosis】

[どんな病気か]
 ひげの生えた部分、とくに鼻の下や頤(おとがい)(下顎(したあご))の毛孔(もうこう)が化膿(かのう)する病気です。
[原因]
 黄色(おうしょく)ブドウ球菌(きゅうきん)、表皮(ひょうひ)ブドウ球菌の感染です。毛孔の浅い部分が化膿したものと、深い部分まで化膿が進んだものとが混在します。
[症状]
 初めは、ひげの根本の毛孔のところに紅(あか)いぶつぶつ、またはその先端に白く膿(うみ)をもったぶつぶつがまばらにできます。しだいに数が増え、隣り合うものが融合したりして深い病巣となり、大きさも小豆あずき)大、大豆(だいず)大、ソラマメ大と大きくなり、より集まって、さらに大きなかたまりになることもあります。軽い痛みがあります。
 口ひげあごひげの生えたところによくみられますが、頬(ほお)ひげのあたりまで広がることもあります。
 白癬菌(はくせんきん)(みずむし、たむしの菌)が感染して同じような症状がおこることがありますが、その場合は発疹(ほっしん)が片側にかたよりやすいものです。
[治療]
 抗生物質の内服から開始します。症状が改善して、小さなぶつぶつが出たり消えたりする状態になれば、抗生物質の塗り薬にかえます。
 ただし、慢性化することもかなりあります。白癬菌の感染による慢性化の場合は、白癬菌に有効な抗真菌薬(こうしんきんやく)を内服します。
 日常生活の注意としては、症状が激しいときには、ひげ剃(そ)りは行なわず、ハサミでひげを切るようにします。顔はぬるま湯で、石けんを使ってやさしく洗います。
[予防]
 石けんを使い、朝夕ていねいに顔を洗いましょう。ひげ剃りは電気カミソリ、それも水洗いができるものを使うようにします。むやみに深剃りしないように気をつけます。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「毛瘡」の意味・わかりやすい解説

毛瘡
もうそう

成人男子の口ひげ、あごひげなどの硬毛に生ずる毛嚢(もうのう)炎(毛包炎)で、俗に「かみそりまけ」とよぶ。毛孔にブドウ球菌が感染しておこるが、かみそりによる刺激が原因となる。ひげの毛孔に一致して丘疹(きゅうしん)、膿疱(のうほう)、痂皮(かひ)(かさぶた)が点々と生じ、かゆみや灼熱(しゃくねつ)感がある。普通のかみそりの使用を避けることがだいじであるが、慢性で再発するので、皮膚科医の治療が必要となる。

[野波英一郎]

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