水上に発着するように作られた飛行機。ふつうの飛行機(陸上機)と違って車輪式の着陸装置がなく,代りにフロートfloatと呼ぶ舟形の浮きを機体の下につけていて,これで水に浮き,水上を滑走して離水や着水をする。胴体がフロートを兼ね,舟形の艇体となっているものは,ふつう飛行艇と呼んで水上機とは区別する。また水上機や飛行艇に車輪式の着陸装置をつけ,水上にも陸上にも発着できるようにしたものは水陸両用機と呼ばれる。水上機は整備された飛行場がなくても,海,湖,川など一定の面積をもつ水面さえあれば運用できるので,第2次世界大戦までは各国の海軍や民間で盛んに使われた。陸上機に比べフロートの空気抵抗が大きく不利なので,各地に飛行場が整った現在では,陸上機に比べその数は少なくなっているが,カナダ北部など地上交通が不便で湖や川の多い地方では,主要交通機関としてもっぱら利用されている。
執筆者:久世 紳二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
海や河川、湖などの水面で離発着できる飛行機。水上滑走や停留に適するよう、陸上機の車輪のかわりにフロート(浮き舟)が用いられる。現在は陸上の飛行場がかなり整備されており、また、飛行機の離着水に適した水面はそう多くないこと、陸上機のほうが空気抵抗が少なく操縦や整備などが容易なため、水上機は限られた用途にのみ用いられる。同じ水面で離発着する飛行機で、胴体そのものを舟の形にして水上滑走や停留ができるものに飛行艇flying boatがあるが、水上機とは別の機種として扱うのが普通である。
[落合一夫]
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