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氷の朔日 こおりのついたち

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

氷の朔日
こおりのついたち

旧暦6月1日のこと。古来,氷室 (ひむろ。氷を貯蔵するところ) を開いた日で,平安時代の『朝野群載 (ちょうやぐんさい) 』には,太政官厨家から神へ奉献するほか関白藤原忠実や左右内大臣以下の太政官職員に氷をすすめた文書が納められている。近世では,近松門左衛門浄瑠璃『心中刃 (やいば) は氷の朔日』などにこの名がみえる。大阪,福井,岐阜の各県に,あられ,炒り豆,正月についた餅などを食べて,この日を祝う行事が残っており,石川県には,この日を氷室の朔日と呼ぶところもある。

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デジタル大辞泉の解説

こおり‐の‐ついたち〔こほり‐〕【氷の朔日】

陰暦6月1日。昔、宮中で、冬にできた氷を氷室(ひむろ)から取り出して群臣に賜る儀式がこの日行われた。民間では、正月の餅(もち)を凍(し)み餅にしておいて、この日に炒(い)って食した。氷室の朔日。 夏》

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世界大百科事典 第2版の解説

こおりのついたち【氷の朔日】

6月1日のこと。古く宮中では〈氷室の節会(ひむろのせちえ)〉といって氷室に保存した氷をこの日に食べる行事があり,江戸時代にも宮中や将軍家が献上された氷を食していた記録がある。民間でもこの日を〈氷の朔日〉といい,正月の餅を氷餅にして保存し,この日に食べる習俗がある。〈歯固め〉などと呼び,歯が丈夫になるという。また,この日をムケノツイタチと呼び,蛇が桑の木の下で脱皮するので桑畑に入るのを忌むという地方も多い。

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大辞林 第三版の解説

こおりのついたち【氷の朔日】

陰暦の六月一日。古く宮中で、氷室ひむろから献上された氷を群臣に賜った日。現在も、この日に氷餅やあられ・いり豆などを食べる地方がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

氷の朔日
こおりのついたち

旧暦6月1日の異称。宮中では氷室(ひむろ)の節会(せちえ)といい、古くは氷室に冬から蓄えておいた氷を群臣に賜る行事があったという。民間では、正月の鏡餅(かがみもち)の一部を残しておき、歯固めなどといって、この日に炒(い)って食べる所が多い。この日をムケ節供(せっく)、ムケカエ朔日、ムケの朔日、衣(きぬ)脱ぎの朔日、綿(わた)抜きの朔日、炒り菓子盆、焼餅節供、虫封じ朔日などという。人間の皮がむけ変わる日だといって、山芋を食べて耳くじりをしたり、蛇が皮を脱ぐ日だから桑畑に入るなといったりする。水神祭りに先だつ物忌みの日であったようで、物忌みの説明が変化して種々の伝承を生んだものと思われる。[井之口章次]

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世界大百科事典内の氷の朔日の言及

【歯固め】より

…たとえば,平安時代の貴族社会では押鮎,鹿肉,大根などが用いられ,のちに鏡餅(古くは餅鏡(もちいかがみ)といった)も歯固めの具とされるようになった。現在民間では,餅やかちぐり(搗栗),豆,串柿などで歯固めをする所が多いが,6月1日(氷の朔日)まで正月の鏡餅を保存しておいて歯固めとも氷餅とも称して食べる所もある。年神に供えたものに霊力を認め,体力の消耗する夏にこれに頼ろうとする気持ちがかつてあったのかもしれない。…

※「氷の朔日」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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