江戸町名主(読み)えどまちなぬし

精選版 日本国語大辞典 「江戸町名主」の意味・読み・例文・類語

えど‐まちなぬし【江戸町名主】

  1. 〘 名詞 〙 江戸の各町の町政をつかさどった町役人経費関係で町ごとには置かれず、一人の名主が二、三町から十数町を支配するのが普通で、江戸全部で二百数十名いたといわれる。町年寄指揮の下に、自宅で支配町の事務を処理した。町名主の職は世襲で、他業につくことは許されず、そのかわり町から給料を受けた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「江戸町名主」の意味・わかりやすい解説

江戸町名主
えどまちなぬし

江戸の町々を支配する町役人。初めは町人のなかで由緒のある者や、幕府に貢献した者が名誉職として任命されたようである。こうした草創(くさわけ)名主に対し、17世紀の前半までに行政官として選出されたもの(古町(こちょう)名主)、以後町並地(まちなみち)の拡大とともに増加したもの(平(ひら)名主)、寺社門前町の編入で増加したもの(門前名主)などが区別された。名主は数か町ないし十数町を支配し、江戸町年寄の下で、触(ふれ)の伝達、人別調査、訴訟の和解証文の確認などを行った。支配する町に居住することが原則で、兼業は認められなかった。給与(役料)は町々から徴収し、年間3両ほどの者から、大伝馬町などを支配する馬込勘解由(まごめかげゆ)のように212両余の者まで多様である。1845年(弘化2)の232人の名主の平均役料は53.8両である。中期以後は23組に編成され、町奉行(まちぶぎょう)のもとで多様な業務に従事させられた。1869年(明治2)3月廃止。

[吉原健一郎]

『水江漣子著「町名主」(『江戸町人の研究4』1975・吉川弘文館)』『吉原健一郎著『江戸の町役人』(1980・吉川弘文館)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「江戸町名主」の意味・わかりやすい解説

江戸町名主
えどまちなぬし

江戸の町役人。町年寄の下に位し,各町の自治にあたった。御触 (→御触書 ) と呼ばれた指令の伝達が重要な職務で,ほかに奉行所への願届,戸口調査,税務など一切の事務を行なった。

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