油焼け(読み)アブラヤケ(英語表記)rusting

デジタル大辞泉 「油焼け」の意味・読み・例文・類語

あぶら‐やけ【油焼け】

[名](スル)魚類干物などが古くなったりして脂肪分酸化し、赤茶けて味が悪くなること。

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改訂新版 世界大百科事典 「油焼け」の意味・わかりやすい解説

油焼け (あぶらやけ)
rusting

水産物の肉質が脂質の影響により焼けたような外観を呈する現象。ただし油脂だけの変色も油焼けと呼ぶ場合がある。魚油は一般に高度不飽和脂肪酸含量が高く,空気中の酸素を吸収し,複雑な連鎖反応を繰り返し酸化が進行する。酸化生成物によって香味の低下をきたし,毒性を示すこともある。これが酸敗である。魚体内では酸敗の進行とともに,酸化生成物は共存するアミノ酸,塩基,タンパク質などと一種褐変反応を起こして着色する。着色物の構造やその生成機構などは,まだ解明されていない。この油焼けの際,共存するさまざまな物質に主としてその酸化生成物が作用し,タンパク質との複合体の形成による消化率の低下と,アミノ酸,ビタミン,色素などの破壊による栄養価の低下や退色現象が生ずるだけでなく,毒性物質を生ずることもある。油焼けは,光,微生物,高温多湿,不純物などの貯蔵条件により著しく促進される。したがってその防止には,脂質の酸化を防ぐよう包装や保存条件に注意することが大切である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「油焼け」の意味・わかりやすい解説

油焼け
あぶらやけ

主として脂肪の多い魚の素干し、煮干し、塩蔵品、冷凍品などが、保存日数がたつにつれて黄色く着色したり、渋味異臭を感じさせるように変化した状態をいう。脂肪分の多い肉類の乾製品でも生じる。原因は、脂肪が酸化するとともに、アミノ酸類と反応しておこり、黄褐色を呈することが多い。高度不飽和脂肪酸の含量が多いほど生じやすい。油焼けがおこったものは、まずいうえ、胸やけ不快感などを伴い、肝臓への悪い影響もある。防止には、密封しての冷蔵や冷凍保存、抗酸化剤の使用などがある。

[河野友美・山口米子]

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百科事典マイペディア 「油焼け」の意味・わかりやすい解説

油焼け【あぶらやけ】

魚類の乾製品,塩乾品が,長期貯蔵中に表面が黄褐〜赤褐色に変色,苦味や不快臭を発する現象。油脂の酸化,タンパク質の分解による。空気との接触,直射日光を避け,没食子(ぼっしょくし)酸などの抗酸化剤で防止する。

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栄養・生化学辞典 「油焼け」の解説

油焼け

 →酸敗

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