油色(読み)あぶらいろ

精選版 日本国語大辞典 「油色」の意味・読み・例文・類語

あぶら‐いろ【油色】

〘名〙 菜種油の色。赤みがかった黄色で透きとおる。
※万金産業袋(1732)三「不滅といふ唐貝あり。蛤貝の至極大き成やうの貝、外は油色にて内はなはだ白し」

ゆう‐しょく イウ‥【油色】

〘名〙 彩絵金銀泥絵などの上に油を塗布する法。彩色保護とともに光沢を出すために行なう。中央アジア・中国唐時代に行なわれ、日本には奈良時代伝来

ゆ‐しょく【油色】

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デジタル大辞泉 「油色」の意味・読み・例文・類語

ゆう‐しょく〔イウ‐〕【油色】

彩色画や金銀泥絵などの上に透明な油を塗り、表面を保護し、また光沢を出す技法。中央アジア、中国唐代に盛行。日本には奈良時代に伝えられ、密陀絵はその代表的例。

あぶら‐いろ【油色】

黄に赤みを帯びた、透きとおるような色。菜種油の色。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「油色」の意味・わかりやすい解説

油色
ゆしょく

油飾とも書く。彩絵,金銀泥絵などの上に透明な油を塗る技法。中央アジア,中国の唐代などに行われ,日本へは奈良時代に伝わった。正倉院宝物中の密陀絵 (みつだえ) 箱,密陀絵盆のなかには,荏胡麻 (えごま) の油に一酸化鉛を加えた乾性油に絵具を混ぜて文様を描いたものと,泥絵,彩絵などを施した上に,全面前記の乾性油を塗ったものとがある。前者はいわゆる密陀絵であり,後者東大寺の『花鳥彩絵油色箱』と同種の油色によるもので,明らかに区別されるべき技法である。

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世界大百科事典内の油色の言及

【密陀絵】より

…ただ,地は全面発光することから後年油引きされたとも考えられ,新たな判断が求められている。正倉院には多数の密陀絵系の遺品が遺され,東大寺にも花鳥彩絵油色箱があるが,奈良時代の技法は一様でなく,油と顔料で描いたもののほかに,膠彩色の上にのみ油を塗ったもの,膠彩色をして全面に油を塗ったものがあり,これらを〈油色(ゆうしよく)〉として区別する。油色は油の色を通して文様を観賞するもので,タイマイ(玳瑁),水晶,コハク(琥珀)による伏彩色と同様に奈良時代に好まれた。…

※「油色」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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