泥絵(読み)デイエ

デジタル大辞泉 「泥絵」の意味・読み・例文・類語

でい‐え〔‐ヱ〕【泥絵】

金泥銀泥を使って描いた絵。一般に黒漆塗りの器物紺紙など暗色の地に描かれ、奈良時代から平安時代にすぐれた遺品多い金銀泥絵金銀絵
どろえ(泥絵)1

どろ‐え〔‐ヱ〕【泥絵】

泥絵の具で描いた絵。江戸末期に起こり、主に芝居の書き割りや看板に用いられた。
でいえ(泥絵)1

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精選版 日本国語大辞典 「泥絵」の意味・読み・例文・類語

どろ‐え‥ヱ【泥絵・泥画】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 安価な絵具、特に、泥絵具を使って、厚紙などに描いた絵。主として芝居の背景または看板などに用いられ、江戸末期に起こった。でいえ。
    1. [初出の実例]「泥絵や硝子絵の少し進歩した程度のものであったが」(出典:読書放浪(1933)〈内田魯庵〉銀座と築地の憶出)
  3. 金泥、銀泥などで描いた絵。でいえ。
    1. [初出の実例]「玉椿かはらぬいろを泥絵かな〈似仙〉」(出典:俳諧・六百番誹諧発句合(1677)一〇五番)

でい‐え‥ヱ【泥絵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 金銀の泥を刷毛でひき、その上に金泥や銀泥を用いて描いた絵。どろえ。
    1. [初出の実例]「立廻五尺泥絵〈倭絵〉御屏風五帖」(出典殿暦‐永久三年(1115)九月二一日)
    2. 「千くさのかげになきあかすていを泥絵(デイヱ)に書たるを」(出典:浮世草子・花の名残(1684)一)
  3. どろえのぐでかいた絵。どろえ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「泥絵」の意味・わかりやすい解説

泥絵
どろえ

絵の具とよばれる、胡粉(ごふん)を混ぜた安価な粉末状の絵の具で描いた絵のこと。江戸時代、芝居の看板絵絵馬(えま)などの制作にこの手法が多く用いられた。不透明で濁った色感油絵の具の色感に通ずるため、幕末から明治初期にかけては、眼鏡絵(めがねえ)などの洋風画やガラス絵などにも採用された。金泥(きんでい)、銀泥などで描いた絵のことは、普通、泥絵(でいえ)と呼び習わしている。

[小林 忠]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「泥絵」の意味・わかりやすい解説

泥絵
どろえ

泥絵具で描かれた絵。江戸時代末期頃に流行。泥絵具は粘土などを顔料と混合した泥状の絵具で,粗悪ではあるが廉価なため芝居の看板,書割りなどに用いられた。したがって遺品は少いが,近年になって注目されはじめた土佐の絵金 (えきん) ,すなわち弘瀬金蔵の芝居絵屏風に泥絵が多い。

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