波力発電(読み)ハリョクハツデン(英語表記)power generation from waves

デジタル大辞泉 「波力発電」の意味・読み・例文・類語

はりょく‐はつでん【波力発電】

波の力を利用した発電。波による海面上下動空気タービンジャイロなどで回転運動に変換し、電気をつくる方式などが研究されている。航路標識用の波力発電ブイなどが実用化されている。

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精選版 日本国語大辞典 「波力発電」の意味・読み・例文・類語

はりょく‐はつでん【波力発電】

  1. 〘 名詞 〙 波の運動によって生じるエネルギーを利用し、カム上下させたり、空気タービンを回転させたりして電力を発生させる発電方式。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「波力発電」の意味・わかりやすい解説

波力発電
はりょくはつでん
power generation from waves

波浪エネルギーによる発電で、波浪の上下運動を利用するものと水平運動を利用するものとがある。発電装置の設置方式としては、海面に浮かべるものと防波堤などに固定するものとがある。波の1波長に含まれるエネルギーは波高の2乗に比例するが、発電にきくのは工率である。工率はエネルギーと波の速さの積である。波の速さは、波の形が進む速さ(位相速度)ではなく、エネルギーが進む速さ(群速度)である。世界中の波力を合計すると40ペタワット(ペタは10の15乗)くらい、人類が現在消費しているエネルギーのほぼ4000倍になる。地球に注ぐ太陽エネルギーのうち、雲などで反射して宇宙空間に戻る分を差し引いた残りは約120ペタワットである。世界中の海岸、および日本の海岸の近くに到達するエネルギーはそれぞれ2~3テラワット(テラは10の12乗)、30~50ギガワット(ギガは10の9乗)くらいらしい。装置の効率などを考えると、近い将来でも利用量はこの到達エネルギーの30分の1から20分の1を超えないだろうが、0.1テラワットでも、現在の世界の発電量の約10分の1である。日本では航路標識用のブイの電源として100ワットの波力発電装置が使われている。工業規模では日本でも外国でも波力発電はまだ実用に至らない。

[高野健三]

『高野健三著『海のエネルギー』(1984・共立出版)』


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改訂新版 世界大百科事典 「波力発電」の意味・わかりやすい解説

波力発電 (はりょくはつでん)
wave power generation

波のエネルギーを利用した発電。これまでいろいろなアイデアが提案されてきたが,現在実用化されているのは空気タービンを用いる方式である。波による海面の上下動をピストンとして用いて空気の流れを作り,空気タービンを回して発電機を駆動する。海岸に固定する方式と浮きをつけて浮遊させる方式がある。海岸などに固定する方式は,両端の開いた筒を岸壁などに固定する(図a)。波による海面の上下に応じて,筒内の海水面も上下して空気の流れができる。弁をつけることにより空気タービンの部分の空気流は一方向にすることも可能である。このような海岸固定式では三浦半島の海獺(あしか)島灯台(最大出力130W)に世界に先がけて1967年実用された。浮遊させる方式では浮き灯台として利用されることが多い(図b)。波に応じて筒が上下しても,筒内の海水面はそれと完全に一致して動くわけではない。したがって筒内に空気の流れが起きる。この方式は航路標識灯の電源などに実用されている。
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百科事典マイペディア 「波力発電」の意味・わかりやすい解説

波力発電【はりょくはつでん】

波のエネルギーを利用した発電。現在実用化されているのは空気タービンを用いる方式。波による波面の上下動をピストンとして用いて空気の流れを作り,空気タービンを回して発電機を駆動する。海岸に固定する方式と浮きをつけて浮遊させる方式がある。1978年,山形県鶴岡市沖合に浮かべた海洋科学技術センターの〈海明〉は,底の抜けた船体中の波面の上下運動を利用し,空気の圧縮・膨張により空気タービンを回して6万7000kWの発電実験に成功した。また,海岸固定式では三浦半島の海獺(あしか)島灯台(最大出力130W)の電源として世界に先がけ1967年に実用化。→潮力発電
→関連項目クリーンエネルギー発電

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「波力発電」の意味・わかりやすい解説

波力発電
はりょくはつでん
wave-force generation

海洋の波エネルギーを利用して行なう発電方式。 (1) 海面に浮かべたブイの中にタービンを設置し,波による上下運動エネルギーでタービンを回すもの,(2) 海岸に空気タービンを設け,海岸に打ち寄せる波の力でパイプを通して空気を送り,タービンを回すもの,(3) 海中に固定したやぐらに多数のいかだ (ラフト) をつなぎ,各いかだの位相のずれを利用してタービンを回す方式が考えられている。このうち,(1) の方式を応用したものが,1978年山形県鶴岡市沖に海洋科学技術センター (→海洋研究開発機構 ) が浮かべた実験装置「海明」である。長さ 80m,幅 12m,重さ 813tの,底が抜けた箱のような船にタービンを積み6万 7000kWhの発電実験に成功した。さらに (2) の方式では,1987年に運輸省港湾技術研究所が山形県酒田港の防波堤に幅 25m,高さ 30mの波力発電ケーソンを埋め込んで実験を開始し,40kWhの実験発電に成功した。

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知恵蔵 「波力発電」の解説

波力発電

潮汐発電」のページをご覧ください。

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