洋野(読み)ひろの

日本大百科全書(ニッポニカ) 「洋野」の意味・わかりやすい解説

洋野(町)
ひろの

岩手県北東部九戸郡(くのへぐん)にある町。2006年(平成18)九戸種市町(たねいちまち)、大野村(おおのむら)が合併して成立。岩手県沿岸最北端の町で、北は青森県に接し、東は太平洋に面する。海岸部をJR八戸線、国道45号が走り、南部を同395号が横断。西部の高原地域は冬季の積雪が多い内陸型気候を示し、海岸部は春から夏にかけて、偏東風(ヤマセ)の影響で霧が発生し、日照時間が短い。町域の約7割を山林が占める。内陸高原部では肉牛ブロイラー乳製品などの畜産酪農が盛んで、シイタケホウレンソウなどの蔬菜(そさい)栽培も行っている。地元の山林資源を素材とした木工品「大野木工」も評価が高い。沿岸部は漁業が中心で、ウニホヤアワビなどが特産。岩手県栽培漁業協会種市事業所では稚ウニを栽培・放流。なお、シイタケとウニは県内トップクラスの生産量を誇る。潜水業界にその名が聞こえた「南部もぐり」は100年の伝統を誇る。種市高校の海洋開発科は、全国の高校では唯一、潜水と土木の基礎的知識と技術が学べる学科で、卒業生は、本四架橋、関西新国際空港などの港湾土木や沈没船の引き上げなど、国内外で活躍。国道395号沿いにある「おおのキャンパス」は、道の駅、産業デザインセンター、各種工房、町営牧場、スポーツ施設など多数の施設が集まり、特産品や地場産業の開発、人材育成など、地域の活性化を図る拠点施設となっている。面積302.92平方キロメートル、人口1万5091(2020)。

[編集部]


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改訂新版 世界大百科事典 「洋野」の意味・わかりやすい解説

洋野[町] (ひろの)

岩手県北東端,九戸(くのへ)郡の町。2006年1月種市(たねいち)町と大野(おおの)村が合体して成立した。人口1万7913(2010)。

洋野町南西部の旧村。九戸郡所属。人口6036(2005)。南は久慈市に接する。九戸高原の中心部にあり,南部は北上高地北端にあたる山地で,北東部に久慈平岳がある。耕地は有家川,大野川沿いにわずかに開けるが,冷害地帯にあるため五月下旬の晩霜,夏のやませ,海霧などに悩まされる。米や雑穀の栽培のほか,酪農も行われる。

洋野町北東部の旧町。九戸郡所属。人口1万3488(2005)。太平洋に臨む。北上高地北端の丘陵が広く占め,海岸線に並行してJR八戸線,国道45号線が通じる。古くから漁業と農業が主体であるが,米作はやませの影響でふるわず,近年養蚕やシイタケ栽培,食用菊栽培などを導入している。漁業ではコンブ,ウニ,アワビなどの漁獲があり,漁港の改修整備と大規模養殖場の開発が進められた。南部もぐり(潜水夫)の発祥地として知られ,県立種市高校には全国で唯一の水中土木科(現,海洋開発科)が併設されている。
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百科事典マイペディア 「洋野」の意味・わかりやすい解説

洋野[町]【ひろの】

岩手県北部に位置する九戸郡の町。北部を青森県,東部を太平洋に面する。2006年1月,九戸郡種市町,大野村が合併し町制。JR八戸線,国道45号線,395号線が通じる。東日本大震災で,町内において被害が発生。302.92km2。1万7913人(2010)。

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