洗張り(読み)あらいはり

改訂新版 世界大百科事典 「洗張り」の意味・わかりやすい解説

洗張り (あらいはり)

古くからの和服専門の洗濯方法。洗ったのちのりをつけて伸子張り(しんしばり)や板張りを行って乾燥させる。事前に解く作業を伴うため,解洗い(ときあらい)ともいう。現在では伸子張りや板張りを略して,干した布を湯のし仕上げにすることが多い。洗張りする和服は仕立てのときと反対順序縫目を解き,糸屑ごみを払ったのち裁目を縫いつなげて反物の状態に戻す。これを端縫(はぬい)という。板張りの場合には,端縫はしない。ふつうは下洗いののち平板の上に広げ,セッケン水によるブラシ洗いをする。直線裁ちで布の風合いをたいせつにする和服特有の洗濯方法で,丸洗いよりも汚れがよく落ちしみのとれる場合もある。また解くことによって傷んだ部分をくりまわしたり,新しく寸法を改められる利点もある。長着のほか羽織,長じゅばん,染帯なども洗張りする。あわせのものは丸洗いすると裏と表のつり合いが狂うので,解洗いが必要。関西では洗張りや染物などを扱う業者を悉皆屋(しつかいや)と呼ぶ。

栃の一枚板に薄くのりをつけた布の裏側を密着させ,布目と幅を正して天日乾燥させる。1反を張るのに4枚の張板が必要。

端縫した布の両端を引っ張ってつるす。裏側の布の両耳に,細い竹の両端に針をつけた伸子を4~5cm間隔で打ってゆく。ちりめんや御召などのぬれると縮む布,上物絹地は板張りにせずこの方法を行う。

蒸気をあててから乾燥させることによって布のしわをとり,布目と幅をととのえる作業で,湯のし機を用いる。絞りや風合いをたいせつにする絹物は手のしを行う。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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