翻訳|washing soda
洗濯をする場合,炭酸ナトリウムNa2CO3などの弱アルカリ性物質を用いると,それ自体は界面活性を示さないが,汚れの油脂類などの遊離脂肪酸をケン化して可溶化し,またセッケンとなり,デンプン質など含水炭素系汚れを膨潤させて,水中に除去させるなどの効果が生じる。このように洗濯に際して洗浄用助剤として用いられるアルカリを洗濯ソーダという。炭酸ナトリウムを俗に洗濯ソーダともいうが,一般に用いられているものは炭酸ナトリウムを主体とし,これに若干アルカリ性を調整するために炭酸水素ナトリウムを加える場合もある。炭酸ナトリウムは結晶水の量により,無水和物(ソーダ灰),1水和物,7水和物,10水和物(ザルソウsalsoda)がある。1水和物は安定であるが,10水和物は32℃以上で結晶水が分離し,かつそれにNa2CO3が溶解し,湿度の高い夏季には湿気を吸うといった潮解性を示す。家庭用洗濯ソーダには,速やかに水に溶けるという点で10水和物が多く用いられている。セスキ炭酸ナトリウムsodium sesquicarbonate Na2CO3・NaHCO3・2H2Oはアルカリ性が弱く,繊維を傷めない,風化や潮解しないなどの理由から,羊毛,木綿の洗濯用に好んで用いられる。工業用などでアルカリ性を強くした洗濯用には炭酸ナトリウムと苛性ソーダを混合使用する場合もある(苛性化灰caustized ash)。セスキ炭酸ナトリウムおよび苛性化灰は変成ソーダmodified sodaとも呼ばれる。洗濯ソーダは絹,人絹,羊毛のようにアルカリ性に弱い繊維には向かず,また洗浄力もセッケンに劣るが,重金属イオンを隠ぺいし硬水を軟化する等の効果があるためセッケンの消費を防ぐので,セッケンと併用する場合が多い。
執筆者:内田 安三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
結晶ソーダ、ザルソウなどともいう。通常、炭酸ナトリウム十水和物Na2CO3・10H2Oをさすが、一水和物や、炭酸水素ナトリウムとの複塩であるセスキ炭酸塩Na2CO3・NaHCO3・2H2Oなどを含めることもある。無水和物の微細粉末、すなわちソーダ灰より水に溶けやすく、綿布、羊毛などの洗浄や、動物性繊維の洗濯に用いられる。
[鳥居泰男]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…俗に炭酸ソーダまたはソーダsodaと呼ばれる。無水和物はソーダ灰,10水和物Na2CO3・10H2Oは結晶ソーダまたは洗濯ソーダとも呼ばれる。化学工業上最も重要な製品の一つである。…
※「洗濯ソーダ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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