流行性角結膜炎(読み)りゅうこうせいかくけつまくえん(英語表記)Epidemic keratoconjunctivitis (Pink eye)

精選版 日本国語大辞典 「流行性角結膜炎」の意味・読み・例文・類語

りゅうこうせい‐かくけつまくえん リウカウ‥【流行性角結膜炎】

〘名〙 アデノウイルスによる伝染性角結膜炎。最初結膜炎症状で始まり、のちに角膜炎を起こす。伝染性がきわめて強く、視力障害を残すことがある。

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デジタル大辞泉 「流行性角結膜炎」の意味・読み・例文・類語

りゅうこうせい‐かくけつまくえん〔リウカウセイ‐〕【流行性角結膜炎】

アデノウイルス感染による伝染性の結膜および角膜炎症学校感染症の一。感染症予防法の5類感染症の一。流行目はやりめ

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六訂版 家庭医学大全科 「流行性角結膜炎」の解説

流行性角結膜炎
りゅうこうせいかくけつまくえん
Epidemic keratoconjunctivitis (Pink eye)
(感染症)

どんな感染症か

 主に、アデノウイルスD亜群の8型、19型、37型の感染によって発症します。非常に伝染力が強く、集団発生する角結膜炎で、俗に「はやり目」と呼ばれています。院内感染を引き起こすこともあり、感染予防最善の努力が必要です。

症状の現れ方

 潜伏期間は1~2週といわれています。耳前リンパ節のはれ、圧痛(押すと痛い)、結膜に小さなぶつぶつができる急性濾胞性結膜炎(ろほうせいけつまくえん)が生じます。

 眼脂(がんし)(めやに)、充血、まぶたのはれなどの症状で始まり、眼脂はさらさらとした漿液性(しょうえきせい)です。角膜には点状の上皮性角膜炎が起こります。

 両眼性が多く、眼瞼(がんけん)結膜には濾胞形成、乳頭増殖を認めます。偽膜(ぎまく)形成や角膜びらんがみられる重症例もあります。

検査と診断

 大部分は、症状と所見からほぼ診断することができます。結膜からこすりとった組織が、アデノウイルス抗原陽性であれば診断確定です。市販されている検査キットも診断に有効です。

治療の方法

 有効な抗ウイルス薬はありません。対症療法として、細菌感染防止の目的で抗菌薬を点眼します。角膜炎治療としてステロイド薬を点眼しますが、ヘルペスでないことを確認してから使用します。

病気に気づいたらどうする

 眼科専門医を受診してください。

下村 嘉一

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家庭医学館 「流行性角結膜炎」の解説

りゅうこうせいかくけつまくえん【流行性角結膜炎 Epidemic Keratoconjunctivitis】

[どんな病気か]
 アデノウイルスの感染が原因でおこる結膜炎で、ウイルス性結膜炎の代表です。感染力が非常に強く、俗にはやり目と呼ばれています。感染から約1週間の潜伏期を経て発病します。
[症状]
 充血、めやに、流涙(りゅうるい)、異物感、眼瞼腫脹(がんけんしゅちょう)などのほか、耳前方のリンパ節が腫(は)れたり、発熱など、かぜ症状をともなうこともあります。
 確定診断にはウイルス学的検査が必要ですが、最近では短時間で可能な検査も開発されています。
[治療]
 発病から約2週間で治りますが、症状をやわらげるために、抗生物質、副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)薬、消炎剤の点眼が行なわれます。しかし、特効薬はなく、どのような治療によっても治癒(ちゆ)を早めることはできません。
 おとなの場合には、治る経過中に、角膜上皮下混濁(かくまくじょうひかこんだく)という、角膜の点状の濁りを生じることがあります。これもステロイドで治療します。
 他人にうつさないように注意し、治るまでは通勤、通学は控えましょう。
[予防]
 病人に接触しないようにし、手をよく洗い、病人のタオルなどは別にします。煮沸(しゃふつ)できるものは煮沸消毒をしましょう。

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百科事典マイペディア 「流行性角結膜炎」の意味・わかりやすい解説

流行性角結膜炎【りゅうこうせいかくけつまくえん】

主としてアデノウイルス8型による角膜結膜の炎症。結膜の炎症が先行し,浮腫(ふしゅ),濾胞(ろほう)が生じ,流涙が激しい。発病後約1週間,結膜炎が消退するころ,点状に白濁が生じる点状表層角膜炎が起こることがある。結膜炎がなおった後も,角膜の点状白濁は数ヵ月にわたって残ることがある。
→関連項目角膜炎学校伝染病

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「流行性角結膜炎」の意味・わかりやすい解説

流行性角結膜炎
りゅうこうせいかくけつまくえん
epidemic kerato-conjunctivitis

急性ろ胞性結膜炎の症状で始ることの多い,伝染力のきわめて強い結膜の炎症。分泌物は少く,涙が多量に出,小児では偽膜を生じる。春から夏にかけてが流行期になる。発病後1週間ほどで結膜炎の消退する頃に,点状表層角膜炎が発生 (患者の約半数にみられる) ,視力障害を訴えることが多く,数ヵ月続くが,大部分は軽快する。原因はアデノウイルス8型その他の感染とされ,特効薬は発見されていない。混合感染を防ぐ意味から普通の角膜炎結膜炎に準じて治療する。

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世界大百科事典(旧版)内の流行性角結膜炎の言及

【結膜】より

…これらの結膜炎のうち,伝染力の強い点から重要なのはウイルスによるものである。アデノウイルス8型の感染による流行性角結膜炎epidemic kerato‐conjunctivitisは,俗に〈はやり目〉と呼ばれるもので,5~14日の潜伏期を経て発症し,強い充血,目やにをもたらし,耳前リンパ節がはれる。乳幼児では滲出物が白い偽膜をつくる。…

【はやり目】より

…アデノウイルスを病原菌とする伝染力の強い結膜炎を総称する俗語。アデノウイルスには1~33型までの型があるが,このなかで8型によるものを流行性角結膜炎epidemic kerato‐conjunctivitis(EKCと略称)と称し,狭義の〈はやり目〉とする。3型によるものは咽頭結膜熱pharyngo‐conjunctival fever(PCFと略称)と呼ばれるが,プールで伝染することも多いことから〈プール熱〉と俗称される。…

※「流行性角結膜炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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