学校保健安全法施行規則(昭和33年文部省令18号)で定められた感染症で、幼児・児童・生徒または学生の健康管理の観点から、学校において予防すべきものをいう。学校保健安全法では「校長は、感染症にかかっており、かかっている疑いがあり、又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる」、また「学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる」とし、個人に対して行う出席停止と、学校または学級を単位として授業を行わない臨時休業を、感染症拡大予防対策の柱としている。
学校感染症に指定されている疾患は、第1種、第2種、第3種に区分されている。
第1種疾患は「感染症予防・医療法(感染症法)」の1類感染症と2類感染症(結核を除く)に規定される疾患、エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘瘡(とうそう)、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、急性灰白髄炎(ポリオ)、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体はコロナウイルス属サーズSARSコロナウイルスであるもの)、および鳥インフルエンザ(病原体がA型ウイルスであってその血清亜型がH5N1型およびH7N9型であるもの)である。また、感染症法に規定される新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症も第1種の感染症とみなされる。罹患(りかん)した患者は原則として入院することになり、完全に治癒するまで出席停止となる。
第2種疾患は児童・生徒の発症者が比較的多く、狭義の学校感染症ともいわれる疾患で、インフルエンザ(鳥インフルエンザH5N1型およびH7N9型を除く)、百日咳(ぜき)、麻疹(はしか)、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、風疹(三日はしか)、水痘(みずぼうそう)、咽頭結膜熱(プール熱)、結核で、それぞれの疾病ごとに出席停止期間が示されている。
第3種疾患は急性胃腸炎症状を呈する疾患のほか結膜疾患が含まれる。コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症(O111、O157など)、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎(アポロ病)、その他の感染症で、学校医・医師が感染のおそれがないと認めるまでは出席停止となる。
[井上義朗]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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