北海道中南部、日高(ひだか)振興局管内にある町。日高振興局の所在地。1915年(大正4)浦河町と杵臼(きねうす)、西舎(にしちゃ)の2村が合併して成立。1956年(昭和31)荻伏(おぎふし)村を編入。町名はアイヌ語「ウラリット」(山から濃霧が海に下れば晴天になる所)説、「ウララペツ」(霧深き川)説などがあり、夏季は海霧が多い。元浦川、向別(むきべつ)川、日高幌別(ほろべつ)川が並行し、これを結んで国道235号、236号、336号が通じる。3河川流域と海岸段丘面には牧草地が広範囲に広がる。サラブレッドを中心とする代表的な競走馬生産地帯で、西舎の農林水産省日高種畜牧場(1993年に廃場)がこれに貢献した。日本中央競馬会日高育成牧場があり、前述の種畜牧場の跡地は同育成牧場の軽種馬(競走馬)育成調教場となっており、旧事務所はJRAメモリアルホールとして保存されている。中央の浦河は漁業で早くから開け、日高昆布が特産。農業は明治に入って西舎や荻伏などの河川流域に始まった。北東部は神威(かむい)岳、十勝(とかち)岳(日高十勝岳)など、日高山脈の山岳地帯で、町域は日高山脈襟裳(えりも)国定公園域に含まれる。馬事資料館、郷土博物館のほか、明治時代のキリスト教系開拓団赤心社(せきしんしゃ)の赤心社記念館がある。面積694.26平方キロメートル、人口1万2074(2020)。
[柏村一郎]
『『浦河町史』全2巻(1971・浦河町)』
北海道南部,日高支庁浦河郡の町。人口1万4389(2010)。日高支庁所在地。町域は日高山脈の南斜面にあたる。1807年(文化4)荻伏(おぎふし)に会所が置かれ,南部藩兵300人が駐在したことがある。本格的な農業開拓は,神戸に設立されたキリスト教系の開拓団体赤心社による81年以降の入植に始まった。現在,競走馬生産が農牧業の首座を占め,400余の軽種馬牧場があり,8月上旬せり市が開かれる。西舎(にしちや)にある農林水産省日高種畜牧場は1907年に設立されて馬種改良を行ってきたが,65年以降乳用子牛の集団育成牧場(93年廃止)となっている。農家での乳牛飼育は1963年をピークに減少し,水稲作付けも転作により半減して軽種馬用草地に変わった。地方港湾浦河港は漁業基地化が進み,荻伏・東栄の2漁港は沿岸漁業の拠点で,岩礁の多い浅海はコンブ,ウニを多産する。JR日高本線が通じる。
執筆者:岡本 次郎
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