浩然の気(読み)こうぜんのき

日本大百科全書(ニッポニカ)「浩然の気」の解説

浩然の気
こうぜんのき

人間内部から沸き起こる道徳的エネルギー。これは自然に発生してくるもので、無理に助長させず正しくはぐくみ拡大していけば、天地に充満するほどの力をもつとされる。中国、戦国時代の儒者である孟子(もうし)がいたもので、『孟子』の「公孫丑(こうそんちゅう)」上篇(へん)にみえる。気とは、もと人間のもつ生命力、あるいは生理作用をおこすエネルギーのようなものを意味するが、孟子はこれに道徳的能力をみいだした。仁義(じんぎ)に代表される徳目は人間の内部に根源的に備わっているものとし、それが生命力によって拡大されることを「浩然の気」と表現したのである。

[土田健次郎]

『小林勝人訳注『孟子』上下(岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「浩然の気」の解説

浩然の気
こうぜんのき
Hao-ran-zhi-qi

中国,戦国時代の儒家孟子の説いた説。人間の内部より発する気で,正しく養い育てていけば天地の間に満ちるものとされる。また,道義が伴わないとしぼむとされ,道徳的意味を強くもつ概念である。いわば道徳的活力とでもいうべきものであるが,多分に生理的なニュアンスをはらむ。のちに,儒家の修養論を形成する一要素として重視された。

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デジタル大辞泉「浩然の気」の解説

こうぜん‐の‐き〔カウゼン‐〕【×浩然の気】

《「孟子」公孫丑上から》
天地にみなぎっている、万物の生命力や活力の源となる気。
物事にとらわれない、おおらかな心持ち。「浩然の気を養う」

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世界大百科事典 第2版「浩然の気」の解説

こうぜんのき【浩然の気】

天地の間に満ちわたる生命と活力のもとになる気。《孟子》公孫丑上篇〈われよく浩然の気を養う〉にもとづく。同じ《孟子》にみえる〈夜気〉〈平旦の気〉や《楚辞》遠遊篇の〈六気を餐(くら)いて沆瀣こうがい)を飲む〉の〈沆瀣〉などと同じもの。これらはいずれも明け方近くの清澄な大気を意味する。おそらく孟子は,ある特殊な呼吸法を行っていたと想像される。のちの道教において呼吸法は,不死を得るための最も重要な修養法として体系化される。

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