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海牛 ウミウシ

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デジタル大辞泉の解説

うみ‐うし【海牛】

腹足綱後鰓(こうさい)亜綱の軟体動物のうち、殻のないものの総称。巻き貝の仲間であるが、殻は退化。体はナメクジ形で、頭部に牛の角に似た触角と、後部にえらをもつ。色の目立つものが多く、浅海の岩上や海藻の間にすみ、多くは海藻を食べる。

かい‐ぎゅう〔‐ギウ〕【海牛】

海牛目の哺乳類の総称。ジュゴン科1種とマナティー科3種が現存。浅海や河川にすみ、前肢はひれ状、後肢は退化して外形はクジラに似るが、分類上はゾウに近い。草食性で、特徴的な口を持ち、動作は緩慢。

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大辞林 第三版の解説

うみうし【海牛】

〔触角を振って歩くのを牛に見たてた名〕
軟体動物腹足綱後鰓亜綱に属する一群の海産動物の総称。体形・体色は変化に富み、美しい色彩や模様をもつものが多い。足は幅広く、背面の前方に一対の触角をもつ。雌雄同体で草食性。暖海に生息し、種類が多い。

かいぎゅう【海牛】

海牛目の水生哺乳類の総称。全長約2.5メートルで紫灰色。後肢は退化し、前肢と尾はひれ状。浅瀬で水生植物を食う。ジュゴン科一種とマナティー科三種が含まれ、前者はインド洋・太平洋南西部に、後者は大西洋沿岸にすむ。人魚のモデルとされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

海牛
かいぎゅう
sireniansea cow

哺乳(ほにゅう)綱海牛目に属する動物の総称。水中生活に適応している哺乳類の主たるものは、鯨類、海牛類、鰭脚(ひれあし)類の3グループであり、鯨類に次いで高い適応を示しているのが海牛類である。海牛目Sireniaの現生種はジュゴン科1種、マナティー科3種であり、いずれも水生植物を食べる草食である。ほかにステラーカイギュウがベーリング海域に生息していたが、18世紀なかばに発見されてからわずか27年間で乱獲により絶滅した。動物の種の、人間の手による悲惨な絶滅例として有名である。ジュゴンはインド太平洋地域の浅海に、マナティーは大西洋地域の河川、湖沼、川口付近の沿岸海域に分布しており、いずれも熱帯、亜熱帯地域に生息している。
 体形は太った紡錘形で、後肢は退化し、前肢はひれ状、目は小さく、その後方に小さな耳孔があるが耳殻はない。体長の最大は、ジュゴンで3メートル、マナティーで4メートルに達する。体色は灰色であるが、前者ではやや褐色がかり、後者では青みを帯びており、年齢によっても変化がある。尾びれは比較的大きく、ジュゴンでは鯨類と同様、中央がへこんだ三日月形であるが、マナティーでは中央が膨らんだスペード形なので、両種の区別は一目でつく。遊泳の推進力はこの尾びれの上下運動である。皮膚は硬く、全身に細い毛がまばらに生えている。ジュゴンではこの細毛のほか、洞毛というごく短く太い感覚毛が全身に分布している。水生植物を採食するための口の構造はきわめて特徴的で、よく発達した唇には太い洞毛が密生しており、とくにジュゴンでは上唇が大きく円盤状を呈している。上下のあごの前方にはおのおのそしゃく板があり、ジュゴンの雄では上あごのそしゃく板の上に牙(きば)状に伸びた第2切歯が1対みられる。乳頭は前肢の付け根に1対あり、この乳頭の位置と前肢の状態から、人間の授乳姿勢との類似性を空想し、人魚伝説と結び付いたものと思われるが、実際の授乳姿勢は、子が雌親に対し斜めに並んだ状態で後方から乳頭をくわえる。1産1子。動作は緩慢で、攻撃する武器はなく、温和な動物で新陣代謝も低いと考えられている。したがって体温も哺乳類としては非常に低く、飼育下の測定例ではジュゴン35℃前後、マナティー33℃前後である。
 遊泳速度は通常、時速数キロメートルであるが、逃走する場合などは一時的ならば20キロメートル程度の速力で泳げる。潜水時間は行動、年齢によって変化するが通常数分で、最長は、ジュゴンで十数分、マナティーで20分ぐらいであり、後者のほうが長いと思われる。分類学上、海牛類はゾウに近縁で、皮膚や牙など類似点が多い。肉が非常に美味であることや、体の各部分が媚薬(びやく)的、不老長寿的効果ありと信じられているため乱獲され、繁殖力が低いことと相まって分布域の各地で絶滅が懸念されている。効果的な保護を必要とする動物の一つである。[内田詮三]

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