海神祭(読み)ウンジャミマツリ

デジタル大辞泉 「海神祭」の意味・読み・例文・類語

うんじゃみ‐まつり【海神祭】

沖縄北部の国頭くにがみ地方で、陰暦7月初めのの日(または盆後の亥の日)に行う海の神の祭り。うんじゃみ。

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精選版 日本国語大辞典 「海神祭」の意味・読み・例文・類語

うんじゃみ‐まつり【海神祭】

  1. 〘 名詞 〙 沖縄本島国頭(くにがみ)村比地の祭。七月初亥の日、スゲの葉のかぶりものを着けた神々(あまんがみ)が七人カズラとデエタの葉のかぶりものを着けた山の神が四人出る。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海神祭」の意味・わかりやすい解説

海神祭
うみがみまつり

鹿児島県奄美(あまみ)諸島与論島、沖縄県国頭(くにがみ)郡一帯、島尻(しまじり)郡伊平屋(いへや)諸島などで行われる村の行事。地元では海神(うみがみ)(ウンガミ、ウンジャミなど)という。『琉球国(りゅうきゅうこく)由来記』(1713)には「海神折目(うみがみおりめ)」とある。折目は節日の意である。国頭郡本部(もとぶ)半島地方では大折目(おおおりめ)(ウフウンミ)ともいう。

 旧暦7月の行事で、盆行事後の亥(い)の日とする所が多い。穀物の収穫を終えた、農耕暦の1年の境目の時期で、そのときにあたり、祝女(のろ)を司祭者として、海神を迎え、豊作豊漁祈願する。シヌグと対(つい)をなしている村も多い。国頭郡北部には、シヌグと隔年に行う村もあり、海神祭を女の節供、シヌグを男の節供と説明したり、シヌグを大(ウフ)シヌグ、海神祭をシヌグ小(グワー)と規模により呼び分けたりしている。シヌグが、成人儀礼的な男子を中心とする村落組織による祓(はらえ)の行事であるのに対して、海神祭は、与論島で祝女海神(のろうみがみ)(ヌルウンジャミ)というように、成巫(せいふ)儀礼を伴う、祝女が率いる女子中心の祭祀(さいし)組織による祈願の神事の色彩が濃い。

 神事は、村による変化も大きいが、海に突き出た土地から海神を迎え、村の祭場で神歌を歌って踊り、魚の網漁、イルカ漁、船漕(こ)ぎなどの所作事をするのが普通である。競漕(きょうそう)を実演する村もある。イノシシを弓矢で射る所作事をし、イノシシの模擬品を、山の神の土産(みやげ)として、海神に供える神事もある。イノシシ狩はシヌグで行う村もあり、海神祭とシヌグは内容にも交錯しているところがある。国頭郡では、シヌグとともに、もっとも大掛りな村の行事になっている。

[小島瓔


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「海神祭」の意味・わかりやすい解説

海神祭
うんじゃみ

沖縄島北部の名護市以北の国頭郡とその周辺の離島で,旧暦 7月の盆前後の亥の日に行なわれる海神の祭り。ウンギャミ,ウンガミ,ウンザミなどとも呼ばれ,集落を代表するノロ(ヌル)を中心とする神役の女性(神女)と男性の神役とが中心になって行なわれる。各地それぞれに違いがあるが,ノロと神女による海神の神迎えのあとに,神女が船を漕ぐ所作やハーリー(競漕)を行なったり,男性の神役や村人もかかわってイノシシ狩りを表すとされる所作などを演じる本祭りとなり,最後に海岸に出て神歌をうたうなどして神送りをする,という構成をとるところが多い。神送りの際には,祭りに使用した用具やお供え物を海に流すところもあり,国頭村の比地,奥間では,神女の草冠を浜の木にかけ,お供え物だったパパイヤにネズミを入れ海に流す。また,海神以外の神の祭りとしての側面もあり,大宜味村の謝名城では山の神もまつっており,古宇利島では島の祖神が天から餅を降らして食べたという伝承にちなむとされる行事も行なわれている。大宜味村の塩屋湾で行なわれる海神祭は,1997年に国の重要無形民俗文化財に指定された。

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百科事典マイペディア 「海神祭」の意味・わかりやすい解説

海神祭【うんじゃみまつり】

沖縄本島北部を中心に,海神を迎え,豊漁を祈願する行事。女性が中心となって祭を執り行うため女の節供ともいう。〈しぬぐ〉(男性が中心の祭)と年々交互に,旧暦6月か7月の亥(い)の日に行う。かつては5日にわたって展開されたが,現在では原形も祭の意義も見失われている。

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世界大百科事典(旧版)内の海神祭の言及

【沖縄[県]】より

…八重山各地では6月にプールとよばれる稲やアワの収穫祭が行われ,西表島古見など4ヵ所ではこの祭りに豊穣をもたらす仮面仮装神であるアカマタ・クロマタが登場する。沖縄島北部の沿岸では7月20日以後の亥の日または6月中の亥の日に〈海神(うんじやみ)祭〉が行われる。これは海神を迎えまつって海の幸を祈る祭りである。…

【海神】より

…海神を祭る神社の主要なものとして,宗像(むなかた)大社,住吉神社,大山祇(おおやまづみ)神社,金毘羅社などが全国的に勧請流布している。海神祭は神霊を奉安した御輿を海中渡御(とぎよ)するものをはじめ,御旅所神幸や競漕するものなどが見られる。沖縄本島北部の村々では,海神を迎える海神(うんじやみ)祭が盛んで,海神と山神との交遊する日の祭りという。…

※「海神祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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