消防組織法第11条1項に基づき、消防本部および消防署に置く市町村の職員(東京都特別区のみ都の職員)で、制服を着用し、階級を有し、消防任務に従事する消防吏員をいう。身分は一般職の地方公務員である。消防官の任務は、火災を予防し、警戒し、鎮圧し、国民の生命、身体および財産を火災から保護するとともに、水火災、地震などの災害による被害を軽減することである。このため消火はもとより、建物や危険物施設の安全チェックや、住民の防災意識の高揚を図る住民指導など、火災予防業務も消防官の重要な任務の一つである。
消防官になるための資格は、日本国籍を有し、かつ地方公務員法第16条の欠格条項に該当しないことが第一要件である。さらに市町村によっては、身体的条件(身長、体重、視力、聴力など)が定められている。採用試験は、各市町村で実施する。消防官に採用されると、都道府県、指定都市が設置する消防学校に入校し、職務の自覚、規律の保持、知識・技術の修得、体力の練成など、消防官として必要な基礎的な事項についての教育訓練を受けることになっている。
消防官には、消防庁の定める規準に従い、上位から順に消防総監、消防司監、消防正監、消防監、消防司令長、消防司令、消防司令補、消防士長、消防副士長および消防士の10階級がある。上位への昇進は、地方公務員法や各市町村の条例に基づき、試験または選考により行われる。給与は各市町村ごとに条例によって定められるが、消防官については、職務の危険性および勤務の特殊性を配慮して、一般の公務員と異なった給料体系になっている。また、消防官は住民に奉仕すべき地位にあるという職務の性質上および強い服従義務を有することから、団結権、団体交渉権、争議権が認められていない。勤務体制は、毎日勤務と2部制あるいは3部制の交替制勤務に大別される。たとえば2部制だと、警防要員が2部にわかれ、当番、非番の順序に隔日ごとに勤務し、週休をとる体制である。
1969年(昭和44)に川崎市で初めて婦人消防官(1992年4月以降、女性消防吏員)を採用して以来、各市町村で女性も採用するようになり、2011年(平成23)4月時点で、東京都に約760人、全国では約3000人(全体の約2%)の女性消防吏員がいる。当初おもな任務は、家庭の主婦や老人・子供を対象に、防災思想の普及・促進を図り、家屋内の防火診断を行うことや、高齢者の家庭に対する防火診断・防災指導を行うことなどであった。しかし、1994年(平成6)に女性労働基準規則が改正され、消防業務の女性深夜業の規制が解除されてからは、女性消防吏員は24時間体制での119番受信指令業務、火災調査業務、消火活動業務、救急隊員業務、機関員業務などに従事している。
[窪田和弘]
『消防庁編『防災白書』各年版(ぎょうせい)』▽『東京都総務局災害対策部応急対策課編・刊『消防年報』各年版』
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